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私の魔法の使い方

「ねえ、レアス。なんで魔法、使わないの?」

 空を見上げている髪の長い女の子に声をかけた。少し振り向くと、同じ服を着て、声をかけられたレアスという女の子よりも、ほんの少し髪の短い女の子が何にも言わないレアスにムッと苛立ち少し声を荒らげていた

「使わないから、こうなったんだよ。ねえ、聞いてる?」

 段々と大きくなってく声。それを無視するように、また空を見上げだしたレアス。その態度に、更に苛立っていく女の子。少し近づいてまた声をかけた

「何も言い返さないの?ねえ」

 すぐ側まで来ても、見て見ぬふりをしているレアスに、更に苛立った女の子。思わずプイッとレアスから背を向けた

「もういいや。ずっと何も言わないなら、それでいいよ」

「ツムギ。レアス。二人とも、学園戻るよ」

 後ろから二人を呼ぶ声が聞こえて振り返ると、同じ服を着た女の子二人がいた

「ナオ、カホ。ちょっと待ってて」

 ツムギが後ろいる二人にそう言うと、レアスの表情を見ようと、もう少し近づいていくが、無視するように、空を見つめたままのレアス。またムッとしたツムギが声もかけず、二人のもとに歩いていった





「ララ、おいで」

 三人の姿が見えなくなり、話し声も聞こえなくなり、一人残ったレアスが小声で呟くと、呼び掛けに答えるように、レアスの目の前に現れたウサギのようなもの。レアスの頬に体を寄せて、ぎゅっと顔に抱きついた

「ララ。機嫌はどう?」

 レアスの顔に抱きついたままララというウサギのようなものが嬉しそうに頷いた

「ずっと一緒にいてくれる?」

 レアスの問いかけにまた頷くと、ララにそっと触れてララの体を頬に寄せた

「ちょっと疲れるかもしれないけど、行こっか」

 微笑んでいた表情が一変してキッと凛々しい顔になったレアス。すると、リリィがレアスの頬から離れ目の前に、ふわりと浮かんだ。その姿を見ると、ふぅ。と深呼吸をして、ララに向かって手をかざした








「どうしたの?」

「うん、なんか変な感じ……」

 学園の帰り途中、ふと振り返り立ち止まったツムギに声をかけた。辺りを見渡していると、ドンと大きな音と共に強い光が現れた。突然の出来事に目を瞑る三人。すぐに消えた光にゆっくりと目を開けると、辺りにあったはずの岩や木々などが無くなっていた

「なんで……」

 目の前の光景に呆然としていると、また遠くから眩い光と、岩が崩れ落ちていく大きな音が鳴り響いている

「レアスを助けに行かなきゃ……」

「待って。強い魔力を感じる。私達じゃ無理……」

 戻ろうとするツムギの腕を慌てて、つかみ止めたナオ。側で落ち続けていた瓦礫が三人のもとにも落ちはじめ、慌てだした時、石に混じって何かがツムギに向かって落ちてきた

「えっ……この子……」

「レアスの子じゃない?確かララだったよね」

 ぐったりとして動かないララの体を揺するツムギ。

だが、ララは目を開けず、ぐったりとしたまま動かない

「大丈夫?起きて!」

「まって。傷ついているから、あまり……」

 慌ててリリィを無理矢理起こそうとするツムギを止めたカホ。その間にも落ちてくる瓦礫が増えてきている

「ここも危ないよ。早く避難しよう」

「ほら、行くよ!」

 そう言い、ナオが無理矢理ツムギの腕を引っ張って逃げようとするが、足を強く踏ん張り動かないツムギ。カホも一緒にもう片方の腕を引っ張って、どうにか動き出した

「でも、この子がいるなら、レアスがまだあっちにいるんじゃ……」

「いても、助けられないよ!ここにいたら、私達まで危ないんだから」

「そうだよ、急いで報告しなきゃいけないんだから、早く走って!」






「ララ……どこ?」

 ツムギ達が学園へと帰っていったその頃、瓦礫に埋もれていたレアスが、瓦礫を退かしながらゆっくりと立ち上がっていた。強風が吹き、砂ぼこりが立ち上がって周辺がよく見えない上に、まだ瓦礫の崩れ落ちている音で上手く状況が読めず、はぁ。とため息ついた

「飲み込まれちゃったのかな……」

 足元に散らばっている瓦礫に目を向けると、ぐぅ。とお腹が鳴って、さっきよりも深いため息をついた

「魔力使いすぎたちゃったか。お腹すいたけど、行かなきゃ。リリィも見つけなきゃいけないし……」

 独り言を呟いていると、砂ぼこりが落ち着いて辺りが段々と見えてきた。すると、どこからか悲鳴や叫び声が聞こえてた。避難のためか遠くなっていくその声を聞きながらレアスがクスッと笑った

「面倒くさいな……。でも、仕方ないか。この先、進まなきゃいけないもの……」

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