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フラれても大好きです  作者: 赤白 青
8/9

強さを求める理由



「あなた名前はなんと言うのですか?」


なんか話しかけられてるけど、無視だ。

もうアサヒの敵討ちは出来たからこいつらと話すことなんかない。

口は災いのもとって言うならな。


「我が名はハロス、魔族の王である。小僧名乗れ」


名乗るなら自分からってか?

魔王様がそんなことするかね。

全くこっちが無視したいってのが伝わらないのかね。

そうだ、いい名前を思い付いた。


「俺は愛の戦士だ。」


「名乗らないなら名無しとでも呼ばせてもらおう」


「だから愛の戦士だって」


「我が配下になれ」


魔王のことに思わず思考が止まる。

一学生であるこの俺に、魔王が自らヘッドハンティングされるとは夢にも思わなかった。


「魔王様、人間を配下におくなど正気ですか?」


「牛鬼を圧倒する男だ。資格は十分であろ。どうだ?それなりの待遇を用意するし、この場にいるものは全員見逃してもやるぞ」


「嫌だね、魔王の配下になったらアサヒに会う回数が減るじゃん。」


魔王からの誘いは驚いたが、悩む必要もなく答えはNOである。

魔王たちは基本的に魔界にいるのに、あんな空気の汚い所にアサヒを連れては行けないし、俺が通うにも遠くて時間がかかりすぎる。


「返事は今すぐではなくてもよい。また返事を聞かせてくれ。」


「だから嫌だって。」


さっきから俺の発言無視ばっかりじゃん。魔王ってこんなキャラなのか?


「ではそろそろ帰るとしよう。これ以上長居は無用だ。」


魔王が立ち上がると、複数の気配を感じる。


「王国魔法騎士団だ。全員動くな。」


白い鎧を着た王国魔法騎士団が助けにきてくれたのだ。

魔王のやつ俺より早く気がつくなんてやるな。

そのまま魔王たち三人は異空間魔法で消えていった。


その後、残党の魔物は王国魔法騎士団によってあっという間に一掃された。

そして、俺は現場に居たということで、いろいろな事情聴取を受けて長いこと拘束されていた。


俺が話した中で魔王の存在は相当衝撃だったようで、話しを聞きにきた騎士の人に毎回聞かれて毎回驚いていた。

あと魔王四天王についても聞いてきて、魔法騎士団としては前から四人の存在は認知されていたが、手がつけられなかったとのことで、今回二人が倒されていたのは光明だったようだ。

もちろん俺が倒したとは言ってない。なんか倒れてましたって言っておいた。あとは都合が悪そうなことは戦場でパニックになって覚えてませんって言って逃げた。

学園の被害は予想以上に大きく、建物倒壊や怪我人、死者が多数出たようで、復興には時間がかかるみたい。

これだけの被害の中アサヒは守れたから良かった。

学園の被害の状況から、学園ランキングも今回は保留となった。なので、俺は390位のままである。

まだまだアサヒの順位には及ばないが、今回の戦いでアサヒを守りきることが出来たので俺は再び告白を決意する。


軽傷の生徒で使っている教室へと向かう。

その途中に何人か復興を手伝う生徒が見えた。

魔法が使えるけど、こういう直すのってやっぱり大変だよな。

教室に入ると窓際でポツリと外を眺めるアサヒを発見する。

よっしゃ気合い入れて行くぞ。


「アサヒ、ちょっといいか。」


「なに?」


いつにもまして素っ気ない感じがする。やはり学園の被害を受けてショックを受けているのだろう。

けど、俺は思いを伝えると決めたんだ。


「好きです。付き合って下さい。」


「この間も断ったよね?アタシより弱い人は無理です。」


やっぱり予想通りの回答が返ってきて、ショックを受ける。

くそ~やっぱりダメか。学園ランキング戦が中止になるのがいけないんだ。


「アタシが使う魔法って知ってる?」


「えっ?」


「だから、アタシが使う魔法。知ってる?」


まさかアサヒから話しかけてくれるとは思わず、しどろもどろしてしまうがもちろん知っている。


「全属性の基本魔法とそれの応用による複合魔法だよね。」


「だいたい正解。それとアタシには星読みって魔法が使えるの。」


「星読みって本当に?」


思わず聞き返してしまう。

星読みというのは未来を視ることが出来る魔法のことだ。これが可能なら未来を自由に覗くことが出来るので、億万長者や来るべき災害にも備えることが出来る。

こんなチートな能力、俺の師匠以外で使える人がいたとは驚きだ。


「まだ自由には使いこなせいけどね。だからこの力を狙ってくる敵は多いのよ。だからアタシより弱い人はダメなの。すぐに死んじゃうから。」


悲しそうな顔を浮かべるアサヒを見ると過去にいろいろあったのだと、察することが出来る。

しかし、その言葉を聞いて俺は笑みをこぼしてしまう。

だってこの言葉から察するに俺は強さ以外ではアサヒに告白を断られていないということである。強ければそれでいいのだ。俺は強いから死なない。

何も問題ないじゃないか。これは付き合えるんじゃね。


「だから弱いあなたとは付き合えないの。死にたくなかったらアタシに告白するのはもうやめて。」


「止めないよ。だって俺は強いから死なない。アサヒの言葉だと俺が強ければ問題ないんでしょ?」


「いや、弱いじゃん。ブーンなんかに負けてたじゃん。」


なんかって言わないでよ、5位だよ?この学園で勝てるの四人だけってことだよ?

負けても仕方なくない?まあそのあと半殺しにしたことは黙ってるけど。


「イヤだ。俺はアサヒが好きなんだ。」


再び大声で告白すると同時に体がものすごい勢いで窓ガラスの方へと吸い付けれられる。



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