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フラれても大好きです  作者: 赤白 青
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様々な目標


「学園の恥だとは思ってねぇよ。目標を口にして何が悪いんだ。俺は勇者だから逆境に強いぞ。」


ジャンクが手に持っていた棒が光を放ち刀の形へと姿を変える。


「僕は英雄(ヒーロー)。人の目標に文句をつけるような男にはならん。」


サンの拳からも炎がメラメラと燃え出す。


「先生、その自分の考えを押し付ける感じ、魔王みたいでいいですね。けど魔王になるのは我だ。」


ムーンの両腕から黒い魔力が湯気のようにモヤモヤと現れる。

俺も魔法で異空間から剣を取り出して構える。


「好きな子と付き合う為、負けられない。」


「自分の実力を理解して目標を立てろ。サンは395位、ジャンクは378位、ムーンは385位、ユーチャックは390位。この底辺どもが、行くぞおら。」


「ランキングが低いのは全てこれからの伸び代だよ。」


結果は一瞬であった。

ほんの一瞬、誰かが通ったかと思うと、俺は剣を折られ、その衝撃で再び壁に激突する。

三人とも四方に飛ばされ、ガンツ先生も飛ばされており、俺らの中心には小さな体にスーツをきたおっさん。校長先生が立っていた。


「君たち規定外の場所での戦闘はダメですよ。」


優しくは言っているが小さな体から信じられないほどの圧を感じる。

ぞくぞくする。この圧は戦闘意欲が駆り立てられる。

校長先生も笑っていることから明らかに俺たちを煽っている。


「校長先生と戦えるなんて滅多にないからな。校長先生を倒して俺が勇者になる。」


「いや、僕が英雄(ヒーロー)になる。」


「我の魔王誕生の日がきたぜ。」


三人とも向かっていく。

当然俺も行く。ここで戦わなきゃ損でしょ。


「強くなって好きな子と付き合うんだ。」


ちなみに校長先生はA級である。

当然俺たちが敵う相手ではない。だからこそ挑む意味がある。強いやつと戦わないと強くなれないからな。


10分後


「ハァハァハァ、マジでバケモンだな。」


肩で息をしながら校長先生を見るも全く息を切らさずに涼しい顔をしている。

他の三人は既に意識を失っているようだ。


「ワシと戦ってまだ意識があるとはユーチャックよ、腕を上げたな。」


これがA級。こんなに遠いのか。

改めて己の現在地を理解させられる。


「こんな俺じゃまだ彼女と付き合えない。強くなるんだ。」


「気迫はよし」


再び剣を構えて挑むも校長先生の魔法の前に意識が途切れる。



ーーーー


白い天井。見慣れた光景である。

校長先生に戦いを挑んで毎度この景色を見ている。そうか、負けたのか。


「目を覚ましたみたいね。」


体を起こすと白衣を羽織った保健室の先生である、メアリー先生がこちらを見ていた。


「あれ?ジャンクたちは?」


三人の姿はベッドにはないようだ。

いつもなら四人揃ってここに運ばれて倒れてるのだが、どこに行ったんだ?


「もう帰ったわ。今日はあなたが一番最後よ。」


「マジか~」


いつもは二番目ぐらいに起きるのに、今日は先越されか。まぁいっか、俺が最後まで戦ってたし。


「またガンツ先生を怒らせて、校長先生とも戦ったみたいね。」


「よくご存知で。」


「サンくんたちに聞いたわよ。英雄(ヒーロー)や勇者、魔王、好きな子と付き合いたい、そんな目標ばっかり言ってるからあなたたちは見下されるのよ。」


メアリー先生の言うように俺らは一部の生徒たちから嫌われている。

ランキングが低いのに出来もしない目標を立ててる痛いやつらだと思われて見下されているみたい。けど、当の俺らはあまり気にしていない。


「知ってます。そこそこの目標立てて満足してるやつらに笑われても知ったこっちゃないですよ。それに俺は人の目標を笑うような男にはないたくない。俺は俺の目標を達成するために努力するだけです。」


「ジャンクくんもサンくんもムーンくんも同じこと言ってたわ。だったら何も今日戦わなくても良かったじゃないの?学園ランキング戦明日よ?」


「忘れてた!」


なんと明日は大事な学園ランキング戦じゃないか。

文字通り学園ランキングを決める戦いで三ヶ月に一回開かれている。

ちなみに今の俺らのランキングは入学試験での結果を元に順位付けされた結果なので、ランキング戦に参加するのは今回がはじめてなのだ。

俺はアサヒを越える。アサヒよりも強くなってみせる。


「メアリー先生、治療お願いします。」


こんなダメージを負った状態じゃ戦えない。


「ダメよ。規則だもの」


メアリー先生の言う規則というのは、命に別状がないケガについては極力治療しないというのが、この学園の規則にあるのだ。

治そうと思えばメアリー先生なら楽勝なのだろうが、昔の先輩で治してもらえると腹をくくって特攻しまくって毎度大怪我してくる人がいたらしくそれが原因で出来た規則らしい。

治してもらえるなら特攻するというのも戦術な気もするが、学園としては推奨せず基本的に自分で負ったケガは自分の自然治癒で治すのを推奨している。


ということで、規則なら仕方ない。

駄々をこねたって治してはくれないだろう。


「仕方ないですね。まぁ実際の戦闘では五体満足な状態で戦えるかわからないですし、問題ないでしょ。」


俺はベッドから降りるとメアリー先生がクスクスと笑っている。


「どうかしたんですか?」


「いや、笑ってごめんね。みんな同じこと言うもんだから可笑しくて。君たちはやっぱり似た者同士だよ。」


似た者同士というのはジャンクたちのことだろう。あんな英雄(ヒーロー)や勇者や魔王とか言ってるやつらと一緒にしてはもらいたくないものだ。



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