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フラれても大好きです  作者: 赤白 青
1/9

好きですからの玉砕


「好きです。付き合って下さい。」


放課後の誰もいない教室に俺は、アサヒ・ラザフォードを呼び出して告白をした。

彼女の答えはシンプルだった。

そして躊躇わずに言われた。


「アタシより弱い人は無理。話それだけなら帰るね。」


アサヒの学園ランキングは全校生徒400人中200位

ちょうど中間。  

そして俺は390位。彼女と俺の間には190人の壁があるということだ。

一度も振り返ることなく立ち去る彼女を目で追うことしか出来なかった。


こうして俺の学園生活の恋は散っていった・・



ってわけにはいかない。

このまま散らせるほど俺は潔くないのだ。

思い返せばアサヒをはじめて意識し出したのは今から1ヶ月前である。

入学して間もないのに関わらず、アサヒはみんなに避けられていた。

どうやら原因はアサヒの兄が物凄いシスコンで妹に近付く男はもちろんのこと、女でもかなり威圧的な態度をとるみたい。しかし、彼女はその対応に慣れているのかあまり気にしていないように見えた。

その日の放課後、先生に頼まれたことを片付けた後に教室に行くと、まだアサヒが一人で席に座っていて何をしているのかとソッと見ると、ノートに今日の出来事を書きながら泣いていたのだ。

その時俺は彼女が望んで一人でいるのではなく、一人で居るのが平気なのではないのだと気付いた。

俺は思わず話しかけてしまった。


「どうして泣いてるの?」


アサヒは俺の接近に全く気付いてなかったみたい。なので、俺を見るなり顔を真っ赤にして、何か魔法を発動させると、俺は気絶させられた。目が覚めると夜になっていてアサヒは既に居なかった。


それからちょこちょこ目で追うようになり、今日の玉砕にいたる。


アサヒは俺の事を嫌いとは言わなかった。

そう、アタシより弱いからダメだと言った。

つまり、俺が彼女より強くなれば付き合える可能性があるということだ。

学園ランキングも上がり好きな人と付き合える可能性があるならこれはもう強くなるしかないでしょ。



そう誓ってから数日後。俺は職員室に呼び出されていた。


「お前らなんで呼び出されかわかってるか?」


俺らの担任である、青いジャージを着たゴリラ・・じゃなかった。ガンツ・ゴング先生が腕を組んで俺らを見る。ちなみに立たされているのは俺を含めて四人いる。たいてい呼び出されるのはこのメンバーなのでクラスは違うけど既に顔馴染みだ。

ガンツ先生はとにかくパワーが自慢で魔法も肉体強化系を得意としている。学園の先生でも等級としては珍しいB級に属する先生だ。

この世界には、実力でAからG級までの等級に分けられ、A級の中である一定条件を達成したものだけが、更なる高みであるS級となることが出来る。現在S級は世界に10人おり、誰もが名を聞けば知ってるような絶対的存在である。

一般的な等級はD級と言われてるので、ガンツ先生はけっこう強い部類に入る。

そして、学園に入ったばかりの俺たちはG級である。


「なんなんだ、この目標は!」


今日の授業は全クラス合同でこの魔法学園でどんなことを学びたいか、そして学んだ上でどのような魔法使いになりたいかを用紙に記入するものだった。

素直な思いを書いたつもりだったのだが、どうやら先生の意に反してしまったようだ。


「まずはサン・トルナ。お前の目標は英雄(ヒーロー)になるか」


「先生、僕は英雄(ヒーロー)になる男だ。だからこの目標で問題ありません。」


サンは入学当初からずっとこの調子である。

誰もが口に出すのが恥ずかしいものだが、なんの躊躇もなく平然と英雄(ヒーロー)になると言っている。


「次はジャンク・ポーマス。お前の目標は勇者か?」


「俺は聖剣エクスカリバーに選ばれし者です。だから勇者になるのは必然です。」


ジャンクもサンと一緒で、入学当初から勇者になると魔法でエクスカリバーを発動して公言している。


「ムーン・ナイドル、お前の目標は魔王か。どうするんだ?地上を征服するのか?」


「さすが先生。浪漫がわかってる。」


ムーンもサンとジャンクと一緒で入学当初から魔王になると公言しており、いつも魔王っぽく見えるように黒いフードを被っては先生に怒られている。


「最後にユーチャック・チーバー。お前の目標は好きな人と付き合うか。お前何しにこの学園にきた?」


「好きな子と付き合える人生を歩むためです。」


アサヒと付き合うには強くなるしかないんだ。

だからこそ今回はこの目標を書いた。さすがに実名は書きにくいからな。


「このバカヤローどもが!お前ら赤ん坊か!もっと真面目に書かんか!腕強化(アームズ)


ガンツ先生の両腕の筋肉が三倍に膨れ上がる。

強化された腕はパワーだけでなく、スピードも格段に強化されており、気付いた時には眼前に腕が迫ってきていたが、反射的に腕を組んで受け止める。

しかし、圧倒的なパワー差で俺は吹っ飛ばされて壁に勢いよくぶつかる。

まじで痛い。横を見ると他の三人も飛ばされたようで、背中や腕を抑えている。

なんてパワーだ。だからゴリラなんて言われるんだよ。


「毎度毎度お前たちは手を焼かせるんじゃない。この学園の恥さらしが。」


ここ王立ファーディナント魔法学園の歴史は古く。500年以上前からあると言われてるが、実際は古すぎてわからないらしい。

とにかく歴史がある伝統校であり、他のいくつかある魔法学園の中でも最強と言われている。現在のS級の半分はこの学園の出身である。


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