表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第四章 モントルビアの王宮

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/679

ベネット公爵

パソコンが、修理から戻ってきました。

更新、再開します。

この話から四章が開始になります。

主人公が色々大変な目に合います(泣)。

(よりによって、こいつか)

アレクは舌打ちしたいのを押さえる。


ここは、王都の中で一般街と呼ばれている、平民が多く住む場所だ。

貴族のプライドの高い奴が、こんな所にまで出張ってくるとは思わなかった。


バルとユーリに視線を送る。

二人が頷いたのを確認して、さらに泰基に視線を送る。

訳は分からないだろうが、こういう場面では暁斗は役に立たない。


自分たち三人は、まだ大丈夫だ。

勇者である二人も大丈夫。

この場で一番の問題は、平民のリィカだ。


平民を人とも思っていないこいつが、リィカに目を付けるのだけは避けなければならなかった。

(頼むからアキト。口出ししないでくれよ)

心の中だけで語りかける。


アレクにとって苦手な相手だ。

暁斗が感情のままに何かを言っても、フォローできる自信はない。

少しでも不利な状況になれば、自分では太刀打ちできない。


息を吐く。

男に向き直った。



「久しぶりだ、ベネット公爵」

「ええ。お久しぶりでございます、アレクシス殿下。ところで、殿下はなぜこのような所に? すぐに王宮へいらっしゃると思っておりましたのに」


いつになく、アレクの声は固い。

ベネット公爵は、言葉遣いこそ丁寧だが、どこかアレクを蔑んでいるように感じられる。


「……食事が済んでなかったからな。腹を空かせた状態では行けない。食べてから行くつもりだった」

実際には、食事をして、宿を取って、そこで気分を落ち着かせて、気合いを入れて……、と色々覚悟を決めてから行くつもりだったが、そこまでは言えない。


「おやおや、殿下。まさか、勇者様にこんな場所で食事をさせるおつもりだったと? せめて貴族街までご案内するべきでしょうに。いくら殿下が側室腹とはいえ、その程度の事もお分かりにならないとは……」


嘆かわしい、と首を左右に振る。完全に見下した口調だった。

暁斗が怒りの表情を浮かべ、何かを言おうとして、しかし泰基が止める。

止められてさらに暁斗が怒ったのも分かったが、アレクは軽く息を吐く。

泰基が分かってくれているのが、幸いだった。


「それもそうだな。食事を済ませたら、勇者様も含めて五人で伺う。そうボードウィン国王陛下にお伝えしてくれ」


こんな所で遭遇してしまっては、勇者二人に街で待っていてもらうのは無理だ。


逆に、平民であるリィカは、一人でも街に残っていてもらった方がいい。王宮になど連れて行けるはずもない。

連れて行けば、アルカトルの王宮でレイズクルスに言われた以上の事を言われて、悪意に晒される。


人数から外してしまってリィカの反応が気になるが、目を向けたくなるのを全力で我慢する。

代わりに暁斗が何かを言いかけて、また泰基が止めているのが見えた。


「いえ、殿下。それには及びませんよ。お食事であれば、王宮でご用意させて頂きますとも。このままお越し下さいませ」

「……旅装束なんだがな」

行きたくなくて、少しでも時間をおきたくて、悪あがきをしてみたが無駄だった。


「構いません。勇者様と旅をされているというのに、それを咎めるのは違うでしょう。そのままでどうぞ」

「……分かった」


ここまでか。だが目的は達成できた。

後は、リィカを見ない振り、いない振りをして、馬車に乗り込めばいい。王宮から戻ったら、謝ろう。

そう決めて、ほんの一瞬、リィカを視界に捕らえる。


リィカが自分たちと距離を置いているのが見えて、少しホッとする。

しかし……。

「アレクシス殿下、勇者様をご紹介頂きたいのですが?」

ベネット公爵の声に、意識を戻す。


頷いて、暁斗と泰基を紹介し、ベネット公爵を二人に紹介する。

暁斗は何かを言いたそうにしているが、口は噤んでくれていた。



ベネット公爵に言われるままに、公爵の乗ってきた馬車に乗り込む。


もう一度、一瞬だけリィカを見る。

リィカは、自分たちを見ていなかった。

見ていたのはこの馬車だ。顔が真っ青になっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公が大変な目に? あまり悲惨なことにはなってほしくないなぁ( ´;゜;∀;゜;) [一言] 先の感想で書き忘れましたが、商人一行も又出てくるのでしょうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ