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【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第三章 魔道具を作ろう

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自動回復の魔道具

活動報告に書いたんですが、パソコンが壊れました。

テレビに映して書いているんですが、すごくやりにくい……。

予約投稿ができるんだっけ、と言うことを思い出したので、三章終了までは予約投稿していきます。

「泰基、魔道具どう? できそう?」

泰基が魔石とにらめっこをしていたら、リィカが声をかけてきた。


「リィカはいいのか?」

「うん、できた。次、風の手紙(エア・レター)に挑戦するんだけど、その前に気分転換というか……。泰基が魔石を睨んでるから」


笑いを堪えているような表情は、凪沙と似ている。

リィカと凪沙を比べるのをやめようと思っても、なかなか泰基はそれができなかった。


「……具体的にどうしていいか、分からないんだよな」

素直に考えていることを漏らせば、リィカの表情が真剣になる。

こんな所も、似ている。


「えっと……自動で回復する魔道具、だっけ?」

うーん、と考えて、そこで何かを思い付いた顔をした。


「自動っていうか、要するに、怪我をしたのを察知して、回復を始めるって事だよね?」

「ああ、そういうことになるな。……察知ってそうか。《診断ディアグノーゼ》か!」

光明が見えた。



※ ※ ※



「うー、頭痛い」

御者台に出ている暁斗は、頭を抑えた。

頑張って気配をよんで、大体自信がついた。

それはいいのだが、今度はよみすぎて頭がパンクしそうだ。


「何でもかんでも気配をよんでいたら、そうなって当たり前だ。いいから中に戻っていろ」

呆れたアレクに言われて、すごすごと馬車の中に戻った暁斗が見たのは、話をしているリィカと泰基。

そして、泰基がリィカに何かを渡すところだった。


「……父さん?」

暁斗が戸惑ったのは、泰基の目が、どこか嬉しそうに見えたからだろうか。


「もう御者台はいいのか」

自分を見る父は、普段と変わらない。

気のせいだっただろうか。


「うん。大体気配よめるようになったよ。……よみすぎて頭痛くなっちゃって、アレクに戻れって言われちゃった」

「……お前は、程々、という言葉を勉強する必要があるな」

「そのくらい、知ってるし!」


頬を膨らませて怒った暁斗だが、すぐに表情を戻す。

さっき見た光景が気になった。


「……ねえ、父さん、さっきリィカに何かあげてなかった?」

泰基の様子に変わりはない。落ち着いたまま、答えが返ってきた。


「ん、ああ。自動回復の魔道具ができたんだよ」

「やっぱり、わたしじゃなくて、暁斗にあげた方がいいんじゃない?」


言いながら、リィカが見せてくれた手の平に乗ったものは、指輪だった。

それを見た暁斗は、心臓がドクンとなった気がした。


「父さん、すごい。できたんだ。でも、なんで指輪なの?」


「Eランクの魔石じゃ、サイズの問題で指輪が限界。それに、できたのはリィカのアドバイスのおかげだしな。アレクあたりの無茶を減らすのに、リィカが持ってた方がいいと思ったんだよ」


「……うん。オレもそう思う。リィカが持ってて」

アレクだけじゃなく、リィカ自身が無茶したときも、効果を発揮する。

そう考えれば、リィカが持つことに不満はない。


「コツを掴んだからな。暁斗にもいいのを作ってやるから、楽しみにしてろ」

父の言葉に、暁斗は泰基を見る。

いつも通りの父だった。


「いいのって何? 魔法のバッグ?」

「お前はそれしか知らないのか。大体、お前が作るんだろ」

「……だって」


サルマに不器用だと言われた。

父やリィカみたいに、上手くいかない。

そこまで考えて、気が付けばリィカの腕を掴んでいた。


「……きゃっ!? どうしたの、暁斗」

「リィカ、オレに魔道具作り教えて!」


最初に、自分が魔法を使えるようになったのは、リィカが教えてくれたからだ。

だったらまた教えてもらったら、できるようになるかもしれない。



(おいおい。アキトも、タイキさんまで)

魔道具作り中は、バルは何もできることがないので、それぞれの様子を何となく眺めている。


ユーリは、作る方に集中しているのか、気付いている様子はない。

昨日みたいに、魔石を灰にしていないので、少しは学んだようだ。


問題は、あっちだ。

泰基が作った魔道具がリィカの手に渡った。それも、指輪というアクセサリーだ。

それだけで、アレクが不機嫌になるのが分かる。


それなのに、暁斗まで魔道具作りというアレクには手の出せない分野で、リィカに近づいている。

暁斗に下心はない。それは確かだ。

泰基は、よく分からない。時々、リィカを見る目に不思議な感じが交ざる。

というか、年齢など考えて、泰基に対して、こんな事を考えるなど、想定外だ。


バルは、アレクを応援している。

やっとアレクが見つけた、兄以上になってくれるかもしれない存在リィカを、逃がして欲しくない。

だから、本音を言ってしまえば、勇者親子に、あまりリィカに近づいて欲しくないのだが。


(そんな事、言えるはずもないしな)

できるだけの協力はするから、サッサとリィカを捕まえろ、とアレクに心の中だけで語りかけた。


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