表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第三章 魔道具を作ろう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/679

リィカ、不機嫌中

「いやぁ、すごかったね」

馬車の中、笑うサルマに、リィカはムスッとしている。


水蒸気爆発スチームバースト》の大爆発で、宿やその周辺は大騒ぎになった。

当たり前である。

建物などに被害が出なかったのは、不幸中の幸いだ。


謝罪するリィカに付き添ったのがアレクだ。

そして、そのアレクに思い切り怒られた。

ここまでは、まあいい。自分がやらかしたのだから、しょうがない。


しかし、もう一人の当事者であるはずのユーリには、一切のお咎めなしで、本人も素知らぬ顔だ。


ついでに、迷惑を掛けたんだから償え、とアレクに言われて、気が付けばデートの約束を取り付けられていたのは、一体どういうことなのか。

絶対におかしい。


それなのに、誰も取り合ってくれない。

リィカは、絶賛不機嫌中だった。




ユーリは、リィカの不機嫌な様子を見ながら、心の中だけで謝罪する。


リィカを煽ったのは、自分だ。だから、一緒に謝ろうとしたのだ。

だというのに、気付けばアレクが割り込んでいた。

横目で睨まれて、引き下がった。

素知らぬ振りをする以外に、ユーリに手はなかった。


リィカとのデートを取り付けたアレクの手腕には、感心するしかない。

(そういうの、苦手だったはずなんですけどねぇ)


王宮にいた頃は、良くも悪くも、正面からぶつかっていくことしかできなかったはずなのに、リィカを口先で丸め込んで、デートの約束を取り付けてしまった。

手腕を発揮する方向性を間違えている気はするが、まあそこはいい。


(すいませんね、リィカ)

何をどう言った所で、アレクとリィカ、どちらの味方をするかと聞かれれば、自分はアレクの味方をする。


大切な友人の、初恋が叶って欲しい。

振り回されるリィカには申し訳ないとは思うが、可能な限りアレクに協力していくつもりでいた。




「それにしても、混成魔法、だっけ? 噂に聞いたことはあるけど、リィカちゃん、あんなのも使えたんだね」


リィカの不機嫌を物ともしないのがサルマだ。

気にせずに話しかけている。


「……使ったの、初めてですけど」

ムスッとしながらでも、無視はできないのか、返事はするリィカだ。


「へえ。初めてで、あんなに使えるものなんだ」

「ずっと上手くできなかったんですけど、魔道具作りで、魔力を使うのがすごくやりやすくなったから、できるかなって……」


できると思って、やりたいと思ってしまったのが、間違いだった。

我慢すれば良かったのに、それができなかった自分が悪い。とは思っていても、どうしても不機嫌になるリィカだ。


「魔道具作るのにそんな効果があるとはねぇ。でも、悪いことじゃないんだから、いいじゃないか」

サルマが不意に声を潜めた。


「(デートの一回くらい、付き合ってやんなさい。あんな理由こじつけないとデートにも誘えないって、可愛いもんだよ)」


不満そうな顔をしたリィカの背中を叩けば、さらに嫌そうな顔をされた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ