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【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第三章 魔道具を作ろう

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ガールズトーク

街に到着した頃は、すでに暗かった。

宿を取って夕飯を食べて、そのまま休む事にした。


リィカとユーリは、明日朝剣の練習をすることを泰基と約束した。


「リィカちゃん、何故剣の練習を?」

宿は、女性陣、リィカ、サルマ、フェイの三人部屋だ。

男性陣も、三人ずつの部屋になっている。


リィカとユーリは、かなりの魔法の使い手だ。剣を使う必要があるとは思えない。


「ちょっと、前衛なしで接近戦をする羽目になった事がありまして。魔法唱えるの大変だったんです。だから、少しでもできるようになればいいかなぁって」


サルマは、へえ、とつぶやく。

そんな事態を引き起こしそうなパーティーには、とても見えない。


「意外だね。全員が全員、かなりの実力だし、連携も上手いのに、そんな事になるなんて」

「……あの時は、色々あったので」


困ったようなリィカの顔に、サルマもそれ以上の追求はやめる。

どんな事でも、深追いは禁止だ。

それよりも、本題に入ることに決めた。


「リィカちゃん、アレクとはどんな関係?」

「…………へ!? え、なんで、アレク!?」


リィカがアタフタするのが分かり、サルマは笑いを漏らす。

魔法のとんでもない才能とは別に、その反応は年相応だ。


「アレク、リィカちゃんとの距離近かったでしょ。魔石を一生懸命作ってるところ、楽しそうに見てたし。ワタシが抱き付いたら怒るし。あれで分からない方が難しい」

枕に顔を埋めてしまって、何も反応を見せないリィカに、サルマはなおも話しかける。


「リィカちゃんは、アレクの気持ち、知ってるんだ?」

「……………言われたから」

「じゃあ、リィカちゃんは?」

「……………よく分かりません」


なるほど、と頷く。

「青春してるねぇ」

サルマの言葉に、リィカが身体を起こして叫んだ。


「何が、どこが、青春ですか!? もう本当に、困るからやめて欲しいんです!」


「だったらそう言えばいいじゃないの。あんたなんか好きじゃないから、手を出してくるなって」

リィカが、グッと息を詰まらせるのが分かった。


「それが言えない程度には気を許してるんなら、諦めるしかないね。手っ取り早いのは、サッサとアレクを好きになって、気持ちに応えてやることさ」


「……手っ取り早い……って」

不満そうなリィカだが、サルマは至って本気だ。


「手っ取り早いでしょ? 好きになったなら、手を出されれば、むしろ嬉しいだろうし」

「――手を出す!?」


何を想像したのか、真っ赤になったリィカを見て、サルマは笑いをこぼす。

大変なのは、リィカちゃんよりもアレクだろうね、と内心思う。


だから、せめて、少しくらい本人に自覚させてあげる。

無自覚でいるよりは、まだマシだろう。


「リィカちゃんさ、自分が可愛い顔立ちしてる自覚、ある?」

「…………………ふえっ?」


「好みはあるかもしれないけど、多分ほとんどの人が可愛いと思うだろうね。――もっと言えば、男に好かれそうな顔してる」

「……………………………………ふえっ?」


「間抜け面してても可愛いんだから、羨ましいくらいだよ」

「………………………………え、と………」


口をポカンとさせたままのリィカを見る、サルマの目は、からかっている言葉とは裏腹に、優しかった。


「覚えていた方がいいよ。なんで男五人に女一人なんてパーティーなのかは知らない。みんな、アレクも含めて紳士的っぽいし、大丈夫なんだろうけど、旅なんて何が起こるか分からないしね」

うつむいたリィカに、さらに語る。


「道中、どんな男に会うかも分からない。どんな相手でも、リィカちゃん一人で男と会うのはやめた方がいいよ。魔法でどうにでもできるだろうけど、余計なもめ事を作ることもない」


「………………………はい」

小さく返事をしたリィカを満足そうに見たサルマは、手をパンと一回叩いた。


「よし、じゃあ、話しは終わり。――ほら、リィカちゃん、寝な。明日も朝早いんでしょ」


ゴソゴソと無言でベッドに潜ったリィカを確認して、サルマも目を閉じた。


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