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【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第三章 魔道具を作ろう

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それぞれの成果

赤い顔をしているアレクをバルはサラッと無視することにして、他のメンバーに顔を向ける。


「んで後は……、アキトはやっぱり魔法のバッグか?」

欲しい欲しいと連呼していたのだから、おそらくそうだろうと思って話を振ってみれば、暁斗の顔は渋い。


「……そこまで行かない」

魔石の加工が上手くいかない。


魔法を無詠唱で使うのは何の苦労もしない暁斗だが、魔道具作りは難しいようだ。

サルマにも、不器用だねと言われてしまった。


「ユーリとタイキさんは?」

視線を逸らしたユーリに、フェイのジトッとした視線が突き刺さる。


同じ神官だからか、フェイはユーリには接しやすいようで、ユーリの魔道具作りを見ていたのだが……。

「ユーリはこだわりすぎ。威力を出そうとして、魔力を込めすぎて魔石をダメにする」


その魔石に込められる魔力ギリギリまで込めようとして失敗して、何個も魔石を灰にしてしまっている。


これ以上の魔石は上げられない、と言われたら、倒したばかりのオークの魔石に手を出した。自分で浄化できるから、確かにやろうと思えばできる。


が、ほっといたら10個全部使いかねない、と思ったアレクが許可を出したのは一個だけで、それには非常に不満そうな顔をしたユーリだった。


結局それも灰にしてしまい、ユーリの成果もゼロだ。


「思いっきり、のめり込んでんじゃねぇか」

魔道具作りの前に、リィカや泰基が言った事が、まさにピタリと当たってる。

バルの言葉に、ユーリは視線を逸らしたまま無言を貫いていた。



「じゃあ、タイキさんは……」

暁斗みたいに不器用って事もなさそうだし、ユーリみたいな事もしないだろう。

むしろ、リィカみたいに成功しているイメージが強い。


そう思ったバルだが、泰基は難しい顔だ。

「……ただの《回復ヒール》を付与しただけの魔石にしかならないんだよな」


「何を作ろうとしたんだ?」

「身に付けていれば、自動で体力や怪我を回復してくれるもの」

「……そりゃあまた、すごいこと考えたな」


日本のファンタジーから考えれば、自動回復効果のある魔法だったり道具だったりは、結構ありふれている。

大体が、微少な回復効果しかないものが多いが、その微少な回復というのが侮れない事も多い。

だから作ってみたかったのだが、結果はただ《回復ヒール》を封じ込めた魔石が出来上がっただけだ。



「ふいー、疲れたぁ」

魔石に集中していたリィカが、顔を上げた。

魔石が綺麗な円球になっていた。


「魔石のランクが上がると、加工も難しくなるなぁ」

リィカのぼやきに、サルマが呆れて返す。


「普通なら、難しい程度じゃ済まないよ。ちなみに、ワタシはCランクの魔石の加工は無理」


「――えっ、なんで!? だって、さっき、Cランクならできるって……」


「大体の感覚でできると思ったからそう言った。それに、リィカちゃんならCランクの加工もできそうな気がしたから、何も言わなかったけどね」

リィカは口をあんぐりさせる。


サルマは笑うと、

「火魔法の付与、失敗しないように気をつけなよ」


頷いて魔石に視線を落としたリィカだが、そこでオリーがストップをかけた。


「悪いけど、そろそろ出発するよ。それは馬車の中でお願い。――今日中に街に到着したいから、少し馬車を急がせるよ。みんなも、野営するよりベッドで寝たいでしょ」


全員が頷いて、片付けをしてから出発した。


急がせた馬車の中は、お世辞にも集中できる状態じゃなく、リィカは火魔法の付与を諦めた。


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