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【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第三章 魔道具を作ろう

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話が逸れる

短いです。

「さて、話が逸れたね。じゃあ、ワタシらの商売道具、見せてあげるよ」

ひとしきりリィカをぎゅうぎゅうして満足したらしいサルマが、手を離して一同を見渡した。


しかし、言われた方は困惑だ。

道具らしい道具は、ほとんど見当たらない。


「あんたら、ちょっと警戒してただろ? 商人なのに全然商品がない、ってさ。その若さにしちゃ、うまく隠してたほうだろうけど、商人には通じないから、覚えておきなよ」


笑われて口ごもる。確かに警戒した。それに気付きながら、無視されていた事実は、面白くない。


「では、商品はあるというのですか?」

挑むようにユーリが問いかければ、サルマは面白そうな顔をした。


「いいね。そういうちょっとムキになる辺り、年相応っぽくて安心するよ。――もちろん、あるさ。なかったら商売にならない。ただ、小さいし、数もそんな多くないからね。それで儲かるし」


サルマはもったいぶるように言葉を切ってから、もう一度口を開いた。

「あんたたち、魔道具ってのはどのくらい知ってる? リィカちゃんは?」


唐突な質問に、リィカは悩んだが素直に答えた。

「……言葉を聞いたことがあるくらいです」


さらに視線を向けられたバルとユーリが、交互に答える。

「知り合いに、魔力病の人がいるんだが……」

「その人が、常に魔力を吸い出す魔道具を身につけているのは知っています。知っているのは、そのくらいです」


「……魔力病の人がいるんだ」

ポソッとつぶやいたのは、フェイだ。バルとユーリが視線を向けると、慌ててうつむいてしまった。


「フェイは人見知りが激しくて、悪いね。フェイ、神官だからさ、魔力病の魔道具を作ったこともある。でも、魔道具って言って、知られているのは大体それくらいだね。魔法が使える人は、魔道具に興味を持つこともないからね。普通に生活するだけなら、生活魔法の魔石があれば、大体それで済んじゃうし」


「…………もしかして、サルマさんたちは、魔道具を作ってるんですか?」

リィカが問いかけると、サルマは嬉しそうな顔をして、リィカをまた抱きしめる。

驚くリィカにお構いなしだ。


「そ、正解だよ、リィカちゃん。生活魔法の魔石だけじゃどうにもならない事も、場所によってはあるからね。そういう所には、魔道具が必要なのさ」


「分かったから、放して下さい……!」


「いやだって、リィカちゃん、抱き心地いいんだもの。このまま男たちと旅させるの心配だなぁ。ワタシと一緒に来ない?」


「行きません! ていうか、また話が逸れてます!」



その様子を見て、バルは思った。

(アレクが、外に出てて良かったな)

じゃなかったら、もっとこの空間はカオスになっていた。


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