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【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第十七章 キャンプ

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合流

「バル!」


 リィカは、見えた大きな背中に声をかけた。ちょうど、魔物を一体倒し終えていたところだった。


「おう、リィカか」


 ふり返ったバルの手に握られていたのは、旅から戻ってきたから使っていた普通の剣ではなくて、魔剣フォルテュードだった。


「使ったんだね」

「ああ。さすがにあの大群を、一切後ろに通さずに倒さなきゃなんねぇとなるとな。見せらんねぇとか考えてる場合じゃねぇ」


 そんな話をしていると、後ろからよく知った魔力が近づいてきた。


「リィカ! やっぱり先に来ていたのか……」

「あのですね、アレク。そんなこと、気配とやらで探れるんでしょう?」


 なぜか落ち込んでいるアレクに、ツッコむユーリだ。リィカは首を傾げた。


「ええっと、なんか、ダメだった?」


「アレクが単に、一番先にリィカと合流するのは自分だ、と決めつけていて、それなのにリィカがいるはずの場所に行ったらいない、と喚いているだけです。気にしなくていいですよ、リィカ」


 リィカは目をパチクリさせた。そんなことを考えもしなかったが、アレクが来るまで待っていた方が良かったのだろうか。アレクを見れば、ユーリを横目で睨んでいる。


「……いちいち解説するな、ユーリ」

「解説しないと、リィカが分からないじゃないですか。で、分からないままだと、リィカは自分が何か悪いことをしたのかと思ってしまいますからね」


 何か文句ありますか? と言わんばかりのユーリに、アレクはもう睨む気力もなくなったのか、ガックリしている。そんなアレクに、リィカは困った顔をした。


「……あの、アレク、ごめんなさい」

「いや、謝ることじゃない。ただもう少し、俺に頼ってくれると嬉しいとは思うけどな」


 ほんの少し、複雑そうな表情を浮かべたアレクの言葉に、リィカは再び首を傾げた。


「いつも頼りっぱなしで悪いなぁって思ってるんだけど」

「よし分かった。頼るというのがどういうことかを、お前とはとことん話し合う必要が……」

「くだんねぇ話してねぇで行くぞ」


 言いかけたアレクの言葉を、バルがすっぱり断ち切った。が、アレクは不満そうだ。


「くだらなくないぞ」

「お前の言う"頼る"は、"依存"と変わんねぇだろ。リィカは、男に寄り掛かんなきゃ生きてけねぇような女じゃねぇだろうが」

「……分かっている。だが、せめてもう少し」


 言いかけたアレクの言葉は、ユーリが背中を押したことで途切れた。


「はいはい、行きますよ。そんな馬鹿話している場合じゃありませんから」

「馬鹿話じゃないっ!」


 叫ぶが、ユーリの言うことももっともだ。早くしないと、また魔物が押しかけてくる。渋々アレクが歩き出し、ユーリもそれに続く。バルも続こうとしたところで、動かないリィカをふり返る。


「リィカ、行くぞ」

「あ、う、うん。そうだね」


 返事をして歩きつつも、どこか心ここにあらずなリィカに、バルは苦笑した。


「アレクのバカの言うことは気にすんな。多分それで、本気でお前がアレクに依存するようになったら、絶対あのバカはお前を持て余す。リィカが、ちゃんと一人で立って歩いてるからこそ言える、冗談みたいなもんだと思っとけ」


「……わたし、結構依存しているような気もするんだけど」


「まだまだ貴族社会が分からねぇから、そこを頼ってるだけだろ。あれを依存と言ったら、本当に依存している奴はどうすんだって話になる。十分過ぎるくらいに頑張ってるさ。自信持て」


「……うん、ありがとう」


 リィカは笑った。そして、続けられた言葉にバルは絶句することになる。


「バルって、なんだかお兄ちゃんみたい。いつもすごく優しいよね」

「……あん?」


 誰がなんだって? という疑問が口から出る前に、リィカはアレクとユーリを追っていった。しょうがなくバルも後を追いかけながら、アレクとの様子を思い返していた。


 結婚をリィカに申し込んでただいま返事待ち、という状況から、この数ヶ月変わっていないらしいが、二人の様子に変わりはない。様子が変だったのは一日だけだ。


 何があるのか、力になれることはないのか聞いてみたが、アレクは笑って首を横に振った。


『何もない。今のところは、時間が解決するのを待つしかない。リィカの事情だから、勝手に俺から話すわけにもいかないから』


 そのアレクの言葉で、よほどの事情をリィカが抱えているのだと察して、バルはそれ以上言うのをやめた。いくら一年の旅を共にした仲間だといっても、言えないことだってあるだろう。そこを無理に踏み込んでいっても、いい結果など望めない。


(だが、よほどの事情、なぁ)


 生まれる前の記憶を持っている、という事情以上のものなど、何かあるのだろうか。正直、バルには想像もできなかった。


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