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【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第十七章 キャンプ

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ハリスとゼブ

「ふぅ、疲れたな」


 Aクラス担任のハリスは、そうつぶやいてから椅子に座り込んだ。とりあえず生徒たち全員、一通りするべきことが済んでホッと一息、といったところだ。


「ハリス先生、とりあえず、皆落ち着いたか?」

「ああ。例年通りバタバタだよ。総責任者は動かなくていいな、ゼブ先生」


 話しかけてきたゼブに、ハリスは若干の嫌味も交えつつ返す。お互いに気安い間柄ではあるが、このキャンプの時に限ってはゼブが恨めしく思える。


 責任者はその場を離れない。何かあったときにいなくては報告が遅くなる。それは分かるが、全く動かないのもどうなのかと思ってしまう。


「彼らは……アレクシス殿下方のチームはどうなんだ? 一人少なかっただろう?」

「どうも何も、手を貸す必要は何もなかった」


 ハリスは苦笑した。

 通常五人チームのところ、一人少ないアレクシスたちのチームだが、どのチームより何をするのもスムーズで何も問題なかった。少ない分はフォローする、などと言ったが、全く不要であったことを思い知らされた。


「一年、旅をしてきた実績は、伊達じゃなかったか」

「ああ。彼らからしたら、このキャンプは遊び程度でしかないだろうな」


 一年もの間旅をしてきた彼らだ。何をするにしても余裕の表情で、しかし周囲にペースを合わせてくれていた。


 その他のチームと言えば、どこのチームも色々な意味で大騒ぎだった。一番大変だったのは、テントに料理の火が燃え移ってのボヤ騒ぎだろうか。だがそれも、生徒たちが自主的に動こうとした年は、よくある話である。


 こう言うと護衛の兵士たちには嫌がられるが、生徒たちは動かずに兵士たちが動いた年の方が、教師の負担は少なくなるのだ。


 ちなみに、大半のチームが料理には失敗した。おおよそそれは見えた結果なので、護衛の兵士たちが、生徒たちの分まで食事を作ってくれている。

 だったら自分たちでやらなくていいじゃないか、と文句を言われるのだが、その文句はゼブに言ってくれ、というのがハリスの本音である。


 今は、色々失敗した料理の後片付けを生徒たちが行っているところだ。


「後は、寝て明日の朝の食事をして、帰りだな」

「……ゆっくり眠りたいものだな」


 夜間の巡回はさすがに兵士たちがしてくれるので、生徒も教師も寝るだけである。しかし、固いだの何だのと文句が多く、生徒たちがなかなか寝てくれない。生徒たちが寝てくれなければ、教師も眠れない。


 眠れないまま翌朝を迎えて、翌朝のテントの片付けやら朝食の準備やらを、眠い頭と目でこなすことになる。


 今年こそはそうならないで欲しいと願っているが、毎年破られる。果たして今年はどうなるか。まあ結局は眠れないんだろうな、と半分諦めつつ、ハリスはぼやいた。



※ ※ ※



 異変は進行する。

 森の奥の、さらに奥深くで。


「よし、成功だ」

「後は様子を見るだけだな」

「カストル様に報告を」


 ――魔力が、膨れ上がった。


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