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【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第六章 王都テルフレイラ

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決闘場開場

ちょっと更新の時間、いつもより遅くなりました。

暁斗も聖剣を抜いた。

確かに今は普通に体が動く。


(――グラム、知ってる?)

心の中で、聖剣に問いかける。

主語のない問いかけでも、返事はすぐに来た。


『うむ。その男が説明したその通りだ。嘘はない。全部ではないが、魔族は一対一の決闘を好む者が多い』


(……相手が死なないとダメなの? 勝つだけじゃダメ?)

『駄目だ。死ぬか降伏が絶対条件だ』


暁斗は唇を噛み締める。

聖剣を正眼の位置に構えて、ヘイストと名乗った男と対峙した。



※ ※ ※



「アレク、大丈夫?」

リィカは結界に弾き飛ばされたアレクの元に行く。

アレクは、すでに体を起こしている。


「ああ、平気だ。――リィカ、あれ壊せないか?」

視線は暁斗に向いていた。


リィカも視線を向ける。

「さっき触れた感じだと、無理……だと思う」


「当たり前じゃない。今までただの一度も壊されたことなんてないわ」

割り込んできた声に、アレクがとっさにリィカを庇うように前に立つ。

魔族二体がそこに立っていた。


「……お前らもあの変なのを使うのか?」

アレクが警戒しながら問いかける。


魔族が笑った。

「さて、そうしても構わぬが。――我が名はメルクリウス。己の本命が来るまで、相手をしてもらおうか」


「――本命?」

アレクが聞き返すが、メルクリウスは笑って何も返さない。


次いで、女魔族が名乗りを上げる。

「あたしはアルテミ。本当の本命はあんただけど、今は見逃してあげるわ」


アルテミに視線を向けられて、リィカは強気に言い返した。

「わたしは今やりあっても構わないけど?」


「……ふんっ、生意気。――《嵐の下降風(ダウンバースト)》!」

唱えられた風の上級魔法に、アレクが動こうとするが……。


「大丈夫。――《水波紋アクアリング》!」

現れた水の輪が吹き下ろされる風を縦半分に切断する。

左右に別たれた《嵐の下降風(ダウンバースト)》はその場で爆発を起こすが、アレクとリィカにダメージはない。


「――そんな、中級魔法で!?」

アルテミが驚愕する一方、メルクリウスが剣を抜いて斬りかかってきた。

アレクが向かい打つ。


剣と剣がかみ合い、

「……ぐっ!」

うめき声を上げたのは、アレクだった。


「――パワータイプ……ということは、お前の本命はまさか……!」

アレクがそれに気付いた瞬間。


「アレク!」

「リィカ!」

「暁斗!」

仲間たちが到着した。


目の前の男が、口の端を上に上げたのが見えて、アレクは咄嗟に叫んでいた。

「来るな、バル!」


「……あん?」

バルからすれば、意味が分からない。


「暁斗!? 何だこれは……。結界か!?」

泰基が結界を叩いていた。

バルとユーリの意識もそっちに向けられ、その顔が驚愕する。


「せっかく来てくれた仲間に来るなとは、随時酷いことを言うものだ。さて、貴様らの相手は、後はこいつらにしてもらう」


メルクリウスが取り出した物、それは。

「魔物の卵!?」

「アレク! もう孵化するよ!」

リィカの警告と同時に、魔力の風が起こった。


「《地震アース・クエイク》!」

アルテミが上級魔法を唱えた。魔物の卵に意識を向けていたリィカは、対応をし損ねた。


「きゃぁっ!」

「……くそっ!」

揺れに足を取られバランスを崩す。さらに地面から来る衝撃をまともに受けてしまう。


そして、アルテミも何かを取り出した。

「……魔物の卵が、もう一つ!?」


リィカが呟いた瞬間、魔力の風が起こる。バランスを崩していたアレクたちはバラバラに飛ばされた。


「捕らえた」

「捕らえたわ」

アルテミとメルクリウスの声がはもる。


「何だ……!?」

「……体が!」

バルとユーリの動揺する声がして、アレクが跳ね起きた。

しかし、もう遅かった。


「「<決闘場開場デュエルフィールド・オープン>」」


暁斗の時と同じ結界が現れ、拡がった。


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