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【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第六章 王都テルフレイラ

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炎の竜巻

「てんい、とは何だ?」

聞きとがめたアレクが質問するが、魔物の声が上がり、周りを確認する。


「――後で教えてくれ。まずは魔物を倒す。数が多すぎるから、いつもと編成を変えるぞ。リィカとユーリ、タイキさんは引き続き上級魔法を頼む。俺とバル、アキトは、魔法組を守るぞ」


「「「「「了解!」」」」」


魔法師団が上級魔法を放つしか能がない、とよく文句を言っているアレクたちだが、それでも、状況によってはその戦法が有効なのは確かだ。

多すぎる敵、密集している敵に対しては、効果範囲の広い上級魔法はこの上なく役に立つ。



「《閃光瞬爆ライトフラッシュ・バースト》!」

「《輝きの氷(ダイヤモンドダスト)》!」

ユーリ、泰基が、それぞれ上級魔法を発動させる。


リィカは、目を瞑る。集中する。

「《灼熱の業火(フレイムヘル)》!」


唱えたのは、炎の上級魔法。《灼熱の業火(フレイムヘル)》は長くその場に残って、敵を焼き尽くす魔法だ。だから、できる。


「《竜巻トルネード》!」

次に唱えたのは、風の中級魔法。


竜巻トルネード》が、《灼熱の業火(フレイムヘル)》と衝突する。

すると、《竜巻トルネード》によって炎が巻き上げられ、そのまま巻き込まれる。

見ていたアレクたちが、大きく目を見開いた。


(――できた!)

リィカが心の中でつぶやき、唱える。


「《炎の竜巻(ファイヤートルネード)》!」

風と炎の混成魔法の完成だ。



※ ※ ※



「ごめんなさい……!」

リィカが、ユーリと泰基に頭を下げた。


「いえ、そんな別に」

「謝るようなことじゃないから」

頭を下げられた二人は、困ったように言った。



リィカの放った《炎の竜巻(ファイヤートルネード)》は、その場を縦横無尽に動き回り、多くの魔物を焼き尽くした。


それは良かったのだが、《炎の竜巻(ファイヤートルネード)》が動き回るおかげで、ユーリと泰基が上級魔法を撃ちにくくなってしまったのだ。

炎の竜巻(ファイヤートルネード)》の動きを見て、その邪魔にならないような所に撃ったりはしたが、途中からは中級魔法に切り替えていた。


いかに強力な魔法でも、それで味方の邪魔をしてしまっては意味がない。

だからこそのリィカの謝罪だったのだが、謝罪されても困る事柄でもある。


千に近い魔物を短時間で倒しきったのは、リィカの魔法のおかげだ。

普通に上級魔法を使い続けていたら、倒しきる前に魔力が切れていた。

ユーリは、父にもらったマジックポーションの出番か、と考えていたくらいだ。


「気にしなくていいですから」

その言葉にリィカを頷かせる方が、魔物を倒すよりも大変だったかも知れない。



※ ※ ※



「《回復ヒール》」

魔法をかけられ、アルテミは息を吐き出す。

痛みが少し和らいできた。


「――本当、とんでもない威力だわ」

言葉が零れる。


自分が今生き残っているのは、自分たちの前に大量に魔物がいたからだ。

まともに食らっていたら、いくら《防御シールド》を張っていても、間違いなくやられていた。


「そうだな。それでも……ジャダーカ様の方が上だろう?」

「――ええ、そうね」

リーダーの言葉に、アルテミも頷く。


肝心な事を思い出した。

「……一目惚れって本当?」

「ああ」

アルテミが顔を覆う。


「魔法が恋人だとかほざいていたジャダーカ様が、まさかねぇ。あの方に春が来るなんて思いもしなかったわ」

「散々な言いようだ……と言いたいところだが、同感だ」


「カストル様も驚かれていたらしいな。オルフも、興味は持つだろうと思っていたが、さすがにそう来るとは思わなかった、と言っていたな」

メルクリウスもリーダーも、言いたい放題だ。


だが、いつまでもふざけていられない。真剣な表情に変わる。

リーダーが切り出した。


「さて、今後についてだ。魔物どもはいるが、それで勇者達を倒せるとは考えない方がいいだろう。どうする?」


「そうだな。――魔物の気配がとんでもない勢いで消えている。一体だれが何をしているのかは分からぬが、Cランク程度では相手にならぬな」


「そうとなると、Bランクの用意も必要か? それで足止めになれば良いが。まあいい。用意するまで、アルテミの回復もできるしな」


魔族達は、次の手の準備を始めていた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱり、リィカはチートですね(^_^;) [気になる点] 前回の18禁って、……まさか、リィカと魔族? 人間と魔族で子供って、出来るの?
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