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【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~  作者: 田尾風香
第四章 モントルビアの王宮

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牢屋にて

こっちにいたい、という暁斗を何とか引き剥がし、一行は王宮に帰還した。


幾人か大使が面会を申し込んできている、と話を聞いて、それに対応。

それなりに説明時間も掛かり、途中、軽い昼食を摂りながら、大使との面会が続いた。


夕食は、国王を始めとする重鎮たちとの晩餐になると聞かされた。

五人だけの場になった所で、嫌な顔をしながらお互いに不満を言い合ったのは、まあしょうがないだろう。



※ ※ ※



リィカは唇を噛みしめていた。

嫌な予感しかしない。


先ほど食事が配られていた。

だと言うのに、自分の所には何も配られない。

両手を後ろで拘束されているから、食べるにしても犬食いをするしかないのだが、何もなしというのは辛い。


ふと視線を感じて、顔を上げる。

ニヤニヤ笑っている牢番の男と、目があった。


「残念だったな。お前に、メシは当たんねぇよ」

そう言われた。

「……なんで」

聞き返そうとして、ガヤガヤと人の声が聞こえて、黙る。


上から降りてきたのは、10代後半から20代くらいまでの、五人の男だ。

全員が派手で豪華な衣装を身に纏っている。


「お、王太子殿下。なぜ、このような場所に……!」

牢番の男の声に、思わずマジマジとその集団を見てしまう。


「例の、平民の小娘を見てみたくてな」

五人の、中央にいる男が応じて答える。

牢番は敬礼してリィカを示すと、五人の男が鉄格子の向こう側に立った。


「ほう。これがそうか。確かに、顔はなかなかだ。――おい、貴様、立て」

突然命令され、リィカが反応できないでいると、隣にいた男が鉄格子を思い切り蹴りつけた。

ガシャーン、と大きな音がなり、リィカが体をビクッとさせる。


「さっさと立て! 平民は、この程度の言葉も分からないのか!?」

命令され、怒鳴られ、さらに嘲笑され、息が詰まる。


後ろ手に拘束されて動きにくいが、それでも何とか立ち上がる。

すると、男たちの舐め回すような視線を感じて、体が震えた。


「――体つきは、大したことないな」

王太子が面白くなさそうに言うのが聞こえた。


「殿下の仰る通りで。こんな女に、勇者も王子も誑かされたとは情けない」

「全く。アルカトルの国王も何を考えて、こんな女を入れたのでしょうね。しかも、魔法使いと偽っているのでしょう?」

「案外、アルカトルの国王も、この女に誑かされたのでは?」


好き勝手に交わされる会話だが、リィカはその内容にハッとした。

(そうだ。最初、兵士もそんな事を言ってたじゃない)

だとしたら、この男たちの目的は……。


「ところで、殿下。勇者たちの出発は、明後日に?」

「ああ、父上が仰っていた。そこまで確実に伸ばしてやると。だからお前たち、お楽しみは明日の夜だ。いいな」


王太子の声に、男たちの下品な同意が響く。

もう一度、王太子の舐め回すような視線が、リィカに向けられる。


「女、喜べ。明日の夜、たっぷり遊んでやる。勇者たちには別の女をあてがうから、それで貴様はお役御免になるかもな」

そこで、王太子の愉悦に浸った顔が、醜く歪む。


「私は女を犯すとき、その前に一切の飲み食いを許さない。それで弱った女を犯す瞬間が、最高のひとときでな。平民の身で、私にその時間を提供できること、感謝するんだな」


アッハッハッハ、と笑いながら、去っていく。

男たちの姿が完全に見えなくなって、リィカは力尽きたように床に座り込んだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] そういう展開ですか( ̄0 ̄; 出発前にリィカの母親が言っていたことのフラグ回収にはなりませんよね?((( ;゜Д゜)))
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