35話 それぞれの行動
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サキが倉之助の店に連れ込まれて行ったことを知った綾斗はすぐさま今来た道を戻ろうとする。
そんな彼に対して半蔵が呼び止めた。
「綾斗殿、待つでござる!」
「なんだ! 早く行かねえと、サキが何をされるか分からねえぞ!」
「しかし倉之助の店に行ってサキ殿を返せと言っても素直に返してくれるとは到底思えないでござるよ!」
その言葉は綾斗の足を止めた。
しかし綾斗は焦っており、今すぐにでもサキを助けに行きたいという思いがありありと顔に出ている。
綾斗は声を荒げた。
「ならどうしたらいいんだ!?」
それに対して、半蔵は落ち着いた様子で口を開く。
「拙者が倉之助の店に忍び込んで、サキ殿を救出するでござる。綾斗殿達はその間に倉之助を捕まえるための町奉行所の役人達を連れてきてほしいでござる」
それを聞いた綾斗は僅かな間考える。
そして首を縦に振った。
「分かった、それでいこう。半蔵、頼んだぞ!」
「任せるでござる!」
綾斗とぬらりひょんはダイキチの馬車に乗り、すぐさま町奉行所に向かう。
恐らくさほど時間を置くまでも無く、倉之助の店の前には彼らが連れてきた役人達が並ぶことだろう。
そう予想した半蔵は、人ごみを避けるために一息に長屋の屋根に飛び乗り、倉之助の店に向かって駆け出した。
その足は風のように速い。
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刀が顔のすぐ横に突き立っている恐怖に耐え切れず、サキは倉之助に聞かれたことに対して全て答えた。
それを聞いた倉之助は愕然とする。
「まさか、人身売買のことが全てばれただと……!?」
彼は焦った表情を浮かべ、侍達に指示を出した。
「侍達に綾斗を発見次第、斬り捨てろと伝えろ! そして町奉行所に行って金を握らせて来い!」
侍達は慌しく動き始める。
すると地上に繋がる階段の上に人が現れ、叫び声を上げた。
「サキ!?」
倉之助がそちらに目を向けると、そこにはツバキがいた。
彼女は階段を駆け下り、牢獄の中に入った。
そして泣きじゃくるサキを抱きしめる。
「お母さん……」
「サキ、ごめんなさいね」
そんな二人の様子を見て、倉之助は二人が親子だということを理解した。
「なるほどな。どうりでお前がその少女をかばうはずだ」
するとその時、倉之助の下に一人の侍が駆け込んできた。
侍が口を開く。
「町奉行所の役人がやって来た。倉之助を出せと言っている」
「……ちっ、一歩遅かったか」
舌打ちをした倉之助は駆け込んできた侍も含めた数人の侍達をその場に残し、外に出て行った。
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町奉行所に到着すると、ぬらりひょんはすぐさま馬車を降りてその建物の戸を開いた。
そして中に向かって叫ぶ。
「お前さんたち! 極悪人の犯罪者がいたぞい! いますぐ来てとっ捕まえてくれい!」
同時にぬらりひょんは妖力を全力で使う。
するとその影響を受けた役人達は彼の言葉を疑うことなく、すぐに準備を始め、ダイキチの馬車に乗り込んだ。
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