仲間が増えます 1
「…圭、ここまで来たら奥の手だ。」
「…奥の手、ですか…。」
「スカウトするぞ!」
「スカウト…。」
僕と涼也さんは未だ無職=所属アイドル0。そこで涼也さんが提案してきたのはスカウト。確かに、直接街中で探すことで他の人との違いが感じられるし、良い案だとは思うけど…。
「…それ、涼也さん出来ませんよね。」
「…ん、ああ、よく考えればそうだな。」
「ってことは僕がやらなきゃならないじゃないですか!!」
「ああ、よろしく頼むぜ!」
「格好付けても駄目です!絶対無理!」
「仕方ねーか。それじゃ俺が
「それだけは絶対駄目です!」
「んな食い気味で言わなくてもいいだろ。あーあ。でもこれで俺らは無職決定かぁ。はぁ、どっかの誰かさんがスカウトしてくれないから…。」
「…あーもー!分かりましたよ!やればいいんでしょやれば。」
「分かればよろしい。」
なんて言って街に出てきましたが…。無理でしょこれ!第一初対面の人に声掛けるとか、ハードル高すぎですよ…。ていうか今時スカウトとか言って付いてくるような人いないでしょ!うわーどうしよう、このままだと本当に無職だ…。
「…あの、大丈夫ですか?」
「…あ、はい。大丈夫です。」
「そうですか。顔色が悪そうに見えたのですが、大丈夫なら良かったです。」
キラッ☆
「…はっ!やっぱり大丈夫じゃないです!」
「えっ!」
「アイドルになりませんか!?私、こういうもので…。」
「はあ。」
「せめてお話だけでも…。事務所に来てもらえませんか?」
「…えー…」
「お願いします何でもします助けて下さい!!!!」
「…、話だけなら…」
「よっし!!!!」
やったー!何かこのサラリーマンさん、割と整ってるし、なんか売れる気がする!!
「…あの、今仕事中なので、また今度でも良いですか?」
「…逃げないでくれますか?」
「逃げませんよ。ですから今週の日曜日でお願いします。はい、これ連絡先です。」
「…え、貰っていいんですか?」
「あなたが人を騙せるようには見えませんし、悪いようにはしないでしょう。」
「ありがとうございます!!」
「…って言われてもなぁ…。ホントにソイツ来んのか分かんねーし、てか来なかったらどーすんだよ。」
「うぐっ。でも、あんな良い人そうな人だひし、連絡先も貰ったし、大丈夫ですよ!」
「馬鹿。偽物の可能性だってあんだろ。もう一回行ってこい。」
「えぇ…。」
何だよ!自分は行かないからって、涼也さんの鬼!…でも仕方ない、もう一人良さげな人を…
「おにーさん、ティッシュいかがですか~。」
「ああ、どうも。」
「ってあれ、おにーさんさっきサラリーマンの人に泣きついてたひとだー!」
キラッ☆
「っは!きみ、アイドルにならない!?何か売れる気がする!」
「っぶふっ、もしかしてさっきのひとにもそれ言ったの!?おにーさん面白すぎでしょ!」
「僕はいたって真面目なんだけど…。どう、興味ないですか?」
「…うーん、バイトあるし大学あるし、おれがやられる側だと面白くないしなぁ。…あ、ねえ、さっきのサラリーマンさんはどーなったの?」
「…ん、あの人なら次の日曜日に話を聞きに来てくれることになったよ。」
「まじで!なんか面白そー!おれも日曜日にいく!!」
「(涼也さんには今日誰か連れてこいって言われたけど…まあいいか!)ありがとう!」
「じゃあ次もここでいーい?」
「分かったよ!本当にありがとう!」
「んで結局今日は収穫0と。」
「なんでですか!収穫あったでしょうよ!」
「んな来るか来ないかも分かんねーようなのは収穫って言わねーよ!」
「次の日曜日見といて下さいね!絶対契約してもらいますから!」
「ふん、どーだかな。」
続くよ!
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