俳優の人気は無職の始まりでした
タイトル意味不明ですみません…。
「あ゛ーー。もう嫌…。」
事務所が完成し、かれこれ1ヶ月。しかしこの1ヶ月で、僕と涼也さんは地獄を見ることになった。
その1
事務所の拠点となるビルを一通り整え、次に取り掛かったのは、ホームページ作り。僕も涼也さんもある程度機械には強いので、2人で協力して、分からないことは涼也さんの知り合いだという専門家に教わりながら作った。涼也さん顔広すぎです。でも…
「うわぁ!!!なにこれ…」
さすが涼也さんのやる事務所、開く前から話題で、ホームページを公開したとたん、事務所への問い合わせのページが真っ黒になった。事務所に所属する方法についての質問もあったが、ほとんどは涼也さんへのファンレターのようなものだった。
「涼也さん、これどうしますか?」
「どうするも何も…。こんなことになるなんてな。これじゃマジの問い合わせがどれか分かんねーよ…。」
そして仕方なく、ホームページに「涼也さんへのメッセージ」のコーナーを作った。まあ、アクセスのほとんどがここにされてるんだけどね…。
その2
「なあ、そろそろオーディションみてーなことしようかと思ってんだけど。」
ということでオーディションを開催した!しかし…。
「きゃー!本物の斎藤涼也だわ!」
しっかり書類選考もしたはずなのに、集まった人のほとんどが涼也さん目当てだった(というより、受ける人のお母様やお姉様が)。受けた本人も…
「なぜオーディションを受けようと思ったのですか。」
「親に言われたので。」
「…。」
こんな感じがほとんどだった。結局、未だに所属アイドルは0のまま。
「はあ。大丈夫かな…。」
「…俺、事務所やること甘く見てたかも…。」
「いや、事務所をやることというより、涼也さんの人気を甘く見てたんだと思います…。」
現役の頃からかなりの人気だったけど、引退してもこれほどとは…。
「俺さ、やる前は人気あるのがネームバリューになるしいいかと思ってたんだ。でも、自惚れるわけじゃねーけど、人気ありすぎていらないと思ったのは初めてだわ…。」
「僕も初めて涼也さんのこと本気で恨みそうになりました…。」
涼也さんが人気なのは嬉しいけど、一刻も早くまともなアイドルに所属してもらわないと…。
「俺らいつまで無職なんだろうな…。」
無職になってしまいます!!
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