僕は俳優の考えていることが分かりません
「…どういうことですか?」
「俺の事務所で雇うっつってんだよ」
「だから意味が」
「はーい、ストップ。涼也はちょっと黙ってて。藤沢、涼也が今言ったように、お前は涼也の事務所に行ってもらう。」
「何で…」
「もちろんすぐにとは言わない。あと半年、涼也との契約期間が残っているから、その間はうちのマネージャーとして働いてもらう。その後、涼也の事務所ができたらそっちに移ってもらうということだ。」
「…。」
「涼也、少し席を外してくれ。」
「はいはい。」
何で僕が異動に?やっぱり板に付いてきたなんて勘違いだったのかな?僕なんて使い物にならないのかな…。
「藤沢。実は今回の話は涼也たっての希望なんだ。」
「え…」
「事務所を設立したいという話は前々から聞いていたんだが、あいつがお前を連れていきたいってずっと言っていたんだ。こっちとしても、今お前を手放すのは惜しいからずっと話合ってきたんだが、負けたよ。あいつはお前の仕事ぶりを誰よりも理解し、評価している。あそこまで言われちゃもう引き下がるしかないさ。」
「…」
「まあ、不安なことも多いだろう。もし事務所を始めて上手く行かなかったらお前はうちに戻ってきても良い。むしろ戻ってきて欲しいくらいだ。ただ覚えておいてくれ。涼也はお前のことを認めてる。だからこそ、事務所に連れていこうとしてるんだ。」
僕は涼也さんに認められてるの…?でも、事務所を設立っていっても、上手くいく保証もないし、無職になんてなったら…
「まあ、あとは二人で話し合え。」
「はい、失礼しました…。」
涼也さん、何を考えているんだろう…?
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