仲間が増えます 2
そして来たる日曜日。
「…と言うわけで…。」
「そうですか…。」
あのサラリーマンさんは寿誠一郎さんというらしい。やっぱりちゃんと来てくれた。どうだ、涼也さん!
「それにしても、おにーさんの事務所ってこのおにーさんがやってるとこだったんだー。」
こっちの男の子は加賀美霄くん。霄と書いてそらと読むらしい。
「うちでみんなが騒いでたからさ~。まさかあのおにーさんに会えるとはねー。」
なんでも、霄くんが中学を卒業すると同時にそれを見守るようにお父様が亡くなったらしい。今家ではお母様、お姉様、妹さんの中に男1人らしい。そんな話をして良いのかと心配になったが、「みんないいひとそうだし、だいじょーぶ!」と言っていた。色々危ない気がする。まあ、ここの人たちは確かに安全だろうけど…。
「ねーねー、ところで
「っはあ!?あなた達なにやってんですか!?」
霄くんと和やかに話していたら、急にさっきまで静かだった寿さんが叫んだ。
「あ、なんだよ。」
「なんだよじゃありません!何ですかこのホームページ!というかあなた事務所の名前自分の名前にしてるんですか!そんなだからそんなことになるんでしょう!!」
寿さんはうちの事務所について調べていたらしい。寿さん曰く、「事務所に自分の名前付けるなんてあり得ません!そんなだからすぐ検索にヒットして色々送られるんでしょう!てかホームページに『涼也さんへのメッセージ』なんてコーナー作るとか、大丈夫ですか!?そんなことしたらもっとやってと言っているようなものでしょう!!」ということらしい。
「「あ…。」」
「忘れてたな…。」
「忘れてましたね…。」
「『忘れてたな…』じゃないでしょう!!…はあ、本当に大丈夫なのかこいつら…。」
あれ、何か口調が…
「…はあ、分かりました。私をここで雇って下さい。」
「!それって」
「アイドルとしてではありません。社員としてです。あなた方2人に任せていたらすぐ倒産しますよ。」
「え、でもこの前会ったばかりですし、寿さんも会社が…。」
「乗り掛かった船です、このまま見捨てたら一生呪われますよ。貯蓄もそこそこあるので暫く無職でも困りませんし、生憎今の会社に其処まで思い入れは無いので。」
なんか、寿さんは想像以上に決断が早かった。男前だ。
「本当にいいのか?」
「ええ。そちらが宜しければ。」
「んじゃ、宜しく頼むぜ!」
「宜しくお願いします!」
こうして僕たちは所属アイドルは0のものの、とても力強い仲間を手に入れた!
「えっ!社長って28歳なんですか!?」
「ああ、ちなみに圭は25だ。」
「…嘘だろ。」
「…ちなみに寿さんって…。」
「今年30歳です。」
「なんだよ。俺と2つしか変わんねーじゃねーか。」
「3学年違います。…はあ。」
さっきまであんな格好良かった寿さんは年齢の話になるとちょっと情けなくなるようだ!
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