第7話
再び貴賓室に空港職員がやってきた。
「お待たせしました、無事に荷物搬入も終わりましたので、どうぞご乗車ください」
1時間かからずに終わったのは、どうやらこのあたりではとても早い方らしい。
「では行こうか」
中家が言うと、即座に座っていた人らも立ち上がり、すぐに貴賓室から出る。
「機体は2つ。私が乗る方を1号、君たちが乗る方を2号としよう。先に君らが降りることにしてほしい。できれば降下してほしいところだが……」
マキシムへ中家が聞く。
「隊長の思うように。ただ降下準備がないので、その点はご容赦を」
「では仕方ないな。降りた後、周囲の警戒を厳にしてくれ。近づいてくる人物は警告を、それでも近づいてくるようならば威嚇射撃、それから射撃の許可を出す。頼むぞ」
「了解です」
二人一緒に歩いていると、威圧感のおかげで周囲の物質すら避けて通っているような気がしてくる。
実際にはまばらしかいない人が注目をしているおかげで、誰も攻撃を仕掛けてくることはないだろう。
タラップを上がり、計画通りの荷物が搬入されていることを確認する。
「荷物よし、機器よし、全員よし」
中家が最後に入るとすぐに乗員が確認をした。
貨物機として使われているもののようで、客席は前に集められ、30人ほどが定員となっているようだった。
後部座席は全て貨物用にされており、カーゴドアが機体後部にある。
貨物は全てそこから出入りさせるようだ。
「一般機か」
「ええ、軍用機ではありません。しかし、乗り心地は、こちらの方が上です」
中家が今求めているのはそれではない。
しかし、フエルサの言葉に中家は何も言わなかった。
「飛行計画は提出済みです。先に彼らの方が離陸、着陸します。こちらは彼らの後を追うようにして飛ぶ予定です」
こちらをどうぞ、と座席に座っている中家に、飛行計画の書類を見せるためにファイルを渡した。
飛行予定は45分、相手の空港の天気予報や、飛行中の気圧変動などの情報がある。
これらを見た上で、中家はようやく飛び立つと言う決心をした。
飛行中は、特に何も起きなかった。
ただ、乗り心地は日本国内の飛行機の方が圧倒的にいいことだけは間違いがなかった。
ガタガタとしている、まるで乱気流の中のようなところで、水すら満足に飲むことができない。
まず降りたら水を飲もうと中家は考えつつ、丸い窓から外を見る。
ともかく何か見えるかと思ったが、ただのジャングルは広がるばかりだ。
町は何もない、そもそもここが正しい航路なのかということも、中家にには分からない。
航路が正しいと信じるしかなかった。