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殲滅指令  作者: 尚文産商堂


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第28話

飛行場についた早々、中家が下りるタラップの地上側に、怒り心頭といった武装社長が立っていた。

降りつつ、すでに周辺から怪訝な目で見られているが、誰も近づけない。

そこだけ突発的に戦争でも起こったかのような緊張感が満ちていた。

「……来い」

謝らせることも許さず、武装社長はただ命じた。

特別に用意した防音室は、周辺が完全に軍で守られていて、明らかにVIP待遇の客がいることが分かる。

その人物こそ武装社長だった。

武装社長は、周囲5メートルに結界をまとわせて、歩いて防音室へ入る。

中家、マキシムはそのまま防音室に入り、他は防音室前で待つこととした。

「まったく、急に作戦を通達する奴がおるか」

急に気迫を抑え、ドカッと用意されている椅子に座る。

すでに武装社長と部下が盗聴器や監視カメラの類が一切なく、外とは電磁的に断絶されていることを確認されているため、安心して話すことができる。

「それで、そいつが黒幕か」

ちくわが皿に盛られて、部屋の中央で鎮座している。

武装社長はそれを無造作に1本掴み、テーブル上にあった醤油を1滴垂らして食べる。

「まあまあだな」

武装社長がそういうのであれば、普通な味ということだろう。

だが、中家とマキシムはそのちくわに手を出すことはない。

「それで、これからどうするつもりだ」

椅子に座りながら二人に聞く。

「まずは、大臣に今回のことのお詫びをしなければならないでしょう。案内人として、フエルサはその場に同席するはずです」

中家が説明を行う。

「勝利を確信するためか」

「ええ。さらに言えば、空港でフエルサと合流する手はずとなっておりますが、先に社長とお会いしたので、まだ果たしていません」

「今、フエルサが使っている携帯電話のハッキングを頼んでいる。どこに、とは聞くなよ。話せないからな」

「それは承知しております。それで、フエルサの過去を洗うことはできましたか」

「当たり前だ。優秀な部下や協力者が多くて助かる。これがそれだ」

懐から、長型3号の茶封筒を武装社長は取り出す。

ビニール袋に入れられたそれの中にはA4のプリントが2枚。

三つ折りでしまいこまれていた。

「バーラの弟だ。それでいて、バーラは今も姿を見せていない」

「双子ですか。こう見ると瓜二つですね」

マキシムにもプリントを渡し、しっかりと読み込ませる。

「生まれは1989年。日本じゃ平成元年と呼ばれる年に当たる。父親は麻薬売人。母親は売春婦。悪くない組み合わせだ。それで順当に麻薬商売へと手を出した二人は、当時新興麻薬カルテルへと入社。入社でいいんだよな、いつも分からなくなる。そこで商売の才能を見せたのがバーラだ。一方で交渉の腕が良かったフエルサは名前を今のに変え、公務員試験を受験。頭も良く、面接ではトップで、総合成績も3席で入庁。その後、軍事関連の仕事を転々としつつ、バーラとは度々会っていたようだ。次第に力をつけたバーラは暖簾分けていうことで、今のところを任されるようになり、次第に独立。今じゃ立派な麻薬カルテルの一つとなった。フエルサについても似たようなものだな。立派に国に尽くして税金を掠め取ってるよ」

「要は、普通の公務員、ということでしょうか」

中家が言うと、武装社長は笑いながら言った。

「それは取りようさ」

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