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殲滅指令  作者: 尚文産商堂


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第27話

空港では、相変わらず農薬散布用の機体が駐機しており、小型機は1機だけが残っていた。

そこへ、全身ボロボロで、明らかに体調が悪そうな顔で中家らが飛び込んでくる。

その表情には鬼が宿っているようで、行った時とはあまりにも違っていた。

気迫負けするように、貴賓室担当の兵が銃を構えることも忘れてみている。

農民らも、近づいてはいけないということが本能で理解できるようで、誰も来なかった。

「……飛行機を出せ。大臣に報告することがある」

「りょ、了解しました」

中家の命令は、何も言わずとも受理されたようだ。

最優先ということもあるが、それ以上に鬼気迫るその顔貌に恐れを抱いたということがあっただろう。


飛行機の中で、とりあえずの身支度は済ませることとした。

伸び放題だったひげや、眼の下のクマも消すためにいろいろと顔に塗る。

銘柄も気にせずに、ただただ化粧品を使いまくる。

「……あの」

「あ?」

脅迫、その行為は、潜在的な恐怖を相手に呼び起こすことによって成立する。

ただ一言、ただ一睨み。

それだけで今の中家には十分だった。

「いえ、フエルサが空港で出迎えてくれるそうです」

「……そうか」

「あの、それと、武装社長が空港でお待ちだそうです」

「……そうか」

それが答える精いっぱい、という形を貫き通す。

「もう、ええか。こっちは支度で忙しいんや」

「え、あ。はい、閣下」

敬礼をして、飛行機内のトイレのドアを閉める。

トイレは臨時に備え付けられた1つ、もとからある1つの2つだけだった。

「ともかくきれいにしないといけませんから」

順番待ちをしている兵が、機内添乗員にそういう。

だが、その気持ちはよくわからないようだ。

「もっとも、首を洗っておかないといけないという理由がありますがね……」

その言葉は、ただ添乗員はより分からなくするだけの効果しか生まなかった。

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