第26話
「……なるほど、事情は分かった」
「少数の重武装部隊がここを保障占領します。メキシコ政府にも通告済みです。ただし、期間は1週間。テック・カバナー総合軍事会社から人員を派遣する手はずです」
マキシムは地上へと出てきた中家へ事情を話した。
「それについては理解した。彼らはどうする」
中家は、縛られることなくプール横で座り込んでいるテレモトらをちらっと見て、すぐにマキシムへと支線を戻す。
座っているのは、周りにテック・カバナー総合軍事会社の兵士が銃をもって守っているためだ。
「彼らを守らせます。帰還する人数は少なく、ここから連絡が出ないようにすれば、我々がこうして生き残ったということは気づかないでしょう」
「ジャミング装置は」
「展開済みです」
仮設指揮所の中に、大型の車を持ってきて、そのエンジンを常時回転させている。
それを使って発電をし、周囲数キロ平方メートルは電波の授受ができないようにしていた。
超高域用ジャミング装置のため、いかなる電波も通すことはないシールドとなっていた。
「これも、外部からの信号で解除できるのか」
「経由する必要がありますが、可能です」
「よし、では進むしかないな」
メンバーは厳選する必要があるだろう。
「東部、北島、南旗は残れ。あと、大多数の兵は残していくしかないだろうな。それでいて、北島、お前がここの指揮を取れ」
「了解」
敬礼をする。
「上空からの監視もあるだろう、どうにかしてブロックしないとな」
「ジャミングと同時に、周辺に実視環境をごまかすためのものを散布しています。おおよそ上空15mに色素を散布しているので、風で漂いつつ、3日ほどはごまかすことができるでしょう」
ただ、太陽は今も明るく輝いている。
どのあたりがそうなっているのかは、よくわからなかった。
「マキシム、君も来てくれ。直接話を聞いた君なら、その情報が詳しくわかるだろう」
「了解しました。こちらの兵も数名連れていきたいのですが、いいでしょうか」
「構わん、だが、2名までだ。足が速いほうがいい。ジャングルを駆け抜けて空港まで戻るからな」
中家がいうと、さっそく2人を選任し、バックパック1つだけ背負い、本隊と別れた。




