第22話
穴は一人入るほどの大きさになっていた。
全ての物資のやり取りをここでしているとは考えにくいことから、きっとどこか別のところに出入り口があるのだろうと考えている。
それを含めての地上班だ。
地下は確かに息ができるほどの酸素が来ている。
さらに常時風を送り続けているので、多少なら奥まで送気されていることだろう。
「周辺の安全、確保しました。電源が消えましたので、これよりヘッドライトで行動します」
「よし」
下の入り口周辺を制圧した班長に、中家が簡単に答えつつ銃を構える。
さらに電気が消えたことから真っ暗となっているところへ、ヘッドライトをつけて突撃をかける。
暗視ゴーグルを持ってきていたが、すでに敵が気づいているという前提で行動をしていることから、今回は頭の上のお飾りになっていた。
当然、電源も切っていることから、銃とのリンクによる自動照準機能は使うことができない。
「よし、行け」
中家が小声でいうと、できるだけ足音を出さないようにして、地下班が進みだす。
右左、と部屋という部屋をしらみつぶしに調べつつ、それでも敵はどこにもいない。
そもそも生活をしているような様子も見られない。
どうせパニックルームの大きなもの、という考えでいたものだから中家はそれを不自然に思うことはなかった。
「……扉です」
目の前にはとても重たそうに見えるおそらく鋼鉄製の扉がある。
開くか、と思って合図を送りつつノブを回してみるものの、その扉はピクリとも動かない。
「鍵でもかかっているのか」
そういいつつ、部下の一人を呼び、扉の周辺にプラスチック爆弾を、まるで粘土のように張り付けさせる。
どこに鍵があり、何が仕掛けられているかわからないから、全て吹き飛ばすという荒っぽい解決法にしたようだ。
「セット完了」
「退避、カウント10より、0で発破」
「了解です」
そしてイヤカムを通してカウントダウンが始まった。




