第18話
中家は、どうこうしている穴をいったん北島に任せ、マキシムのところへやってきた。
そのころには小さかった穴もかなり広げられており、十分に調査を行うことができるほどになっていた。
「どうでしょうか」
「いいかもしれんな。中がどうなっているかが問題だが」
「そこはマーシャルで調査させます」
土が薄くかかっているところを、すでにマーシャルで調査させているのが、少し離れたところで見える。
超音波が金属を伝って響くのを抑えるため、という理由らしいが、どれほどの効果があるかどうかは定かではない。
ただ、中家はそれを気にせずにマキシムへ聞く。
「どんな塩梅だ」
「あの金属の中は、少なくとも1mは空洞があるようです。おそらくは何らかの通路でしょう」
「そうか、穴をあけられるか」
「ええ、不可能ではありません」
ただ、難しい。そう言外に伝えようとしているようにみえる。
「なら、してほしい。こちらはどうも不便だ。できればあの通路がどのようなところにつながっているかを調べてからの方がいいのだが……」
ちらりと穴を見る。
大規模な工事のようなもので、とっくの昔にバーラには知られていることだろうが、それでもできるだけ知られないように行動する必要がある。
特に、どこから攻め入るのか、ということについては、敵の裏をかいくぐる必要があるから大切だ。
「できるだけしてみますが、そこまで期待はしないでください。あくまでもできるだけ、してみるつもりです」
「それでいいが、全力を尽くせ。ガラガラヘビをすでに踏んでいるのだからな」
「分かっております」
中家はマキシムに言いおいて、再び元居た穴のところへと戻る。
ちょうど建物の中から大小いろいろな、たくさんの鏡を持ち出してきているところだった。
鏡は手のひらの半分よりもさらに小さいものから、全身鏡用の2mはあるものまでを、できるだけ多く運び出してきているようだった。
「こんなに使わんだろうに」
中家が苦笑いを浮かべていると、何を使うかわからないから、という部下の反論を受けた。
無論そういうこともあるだろう、それを踏まえて、多数持ってきているようだ。
だから中家は何も言わず、どうしたら中に安定して鏡を置くことができるかという協議に入った。
「上から木枠で糸を固定して、それを垂らしていくのはどうでしょうか」
「意図しない回転によって、方向が乱れる可能性がある。却下だな」
「では途中までは大きいもので、そこで木枠をセットして、それからさらに下を目指すようにすればいいのでは」
「中継点を作っていくということか。それならまだ可能性がありそうだな。よし、それでいこう」
中家は一度決断すると速やかに行動へうつした。




