第16話
話し合いの結果、班を分割し、マーシャルによって別の入り口を探す班、そしてこの地下へと進む穴をどうにかする班に分かれることとなった。
マーシャルはマキシムが隊長となり、中家は穴担当となった。
マーシャルの運転はブレダが引き続き行うこととなっている。
「穴は深いが、どこかにスイッチかあるはずだ」
中家が言いつつ、それがあるとしたら地下の方だろうと目星をつけていた。
だが、地下に降りる方法がない。
降りたとたん、さっきのようになるからだ。
「鏡か何かで反射させるのはどうでしょう」
「あれほどの熱があれば、一瞬で融けるのでは」
「では再起動だ、コンセントを抜けばいい」
「どこのコンセントだよ」
笑いも起きつつ、それでも活発に議論は進む。
「そうだな、まずは鏡を入れてみよう。次は水でもいいか」
鏡は手荷物の中に、小さなものをいつも入れている。
中家は、いつも誰に会うかわからないことから、身支度ができるようなセットを持ってきていた。
それが幸いした。
蝶番で蓋が開き、中身が鏡になっている、直径6cmほどのものだ。
百均で買ったものではあるが、愛用の品の一つである。
蝶番を開け、ゆっくりとおろしていく。
鏡部分をレーザーのところへすっと差し込むと、一瞬で反射光が壁へと当たる。
「……行けそうだな。だが鏡がこれしかない。どうする」
「ここは邸宅です。鏡の一つや二つ、中に落ちていることでしょう。ですからそれを持ってきて、程よい大きさのものを使うのはどうでしょうか」
「では頼んだ」
中家へ提案をしたのは南旗だ。
さっそく南旗は数人を引き連れ、建物の中へと入っていく。
その間に、第2の課題に中家は取り組んだ。
「先ほど見たとおり、下は酸素がないようだ。もう一度確かめるため、落としてみるぞ」
今度は先ほどの廃材よりも大きなものを穴へと落とす。
わかっていたことだが、切り刻まれ、焼かれ、そして落ちていく。
どの破片も、おおよそ入口から2mほどのところで火の勢いが落ち、そのまま消える。
「ライト」
中家が言うと、右から懐中電灯が差し出される。
柄が黒く、LEDのものだ。
柄には、手野グループ共通社章が彫り込まれている。
「見る限り、下は霧だな。どこまで深いかはわからないようになっている。あの霧が邪魔だな、どうやってか消しとばさなければ」
中家の発言に、また同じように三々五々話し合いが始まる。
そして、まずは深さを知るのであれば、硬いものを落として、その音で調べるのがいいということになった。
持ってきたのは近くにあった石だ。
これならレーザーで砕けても、音ぐらいはするという判断だ。
「落とします」
テック・カバナー側の兵士が、石を出来るだけレーザーに当たらなさそうなところに自由落下させる。
あらかじめ石の重さを測定しているため、計算して高さを求めることができる。
しかし、離してしばらく待っても石は音を返してこなかった。
「幾重にもどうやらトラップがあるようだな」
だんだんと、不気味になってきた中家だが、こうなると鏡作戦だけが頼りだ。
あるいはマキシムが別の入り口を見つけるのが先か。




