第15話
マキシムはイヤカムによって、運転中のマーシャル班に命令を伝える。
「中家だ。今どの辺りにいる」
庭は広大で、今は中家らがいるところからマーシャルの姿は見えない。
「今はプールの近くに来たところです。今のところ、地下構造体は発見できていません」
この辺りは地下は上下水道やプール用のパイプなどで入り組んでいる。
その一つ一つを考えて分けていると思ったよりも時間がかかってしまっているようだ。
「ちょうどいい。そのまま建物側のプールへと向かってくれ。その周辺に、不自然なほど四角い石が4つあるそうだ」
「了解、直ちに向かいます」
マーシャル班長のブレダがイヤカムで返事をすると、即座に動き出す。
これらの情報は周りにいるマーシャルの護衛にも聞こえているため、速やかに行動へと移ることができた。
プールは空から見ると、まるでソラマメのような形をしていた。
そして緩いカーブを外側になるようにして造成されていた。
つまり、ブレダはプールのふちのうち、きついカーブをしている方へと向かうこととなった。
「よし、測定を開始する。周辺にその言われたものがないかを確認していてくれ」
護衛に言うと、自身もマーシャルを測定モードにし、周りを探す。
そして、マークはすぐに見つかった。
「これか……」
確かに一辺が3cmの正方形をした石が、2メートルくらいの正方形を描くように置かれている。
どう見ても不自然だ。
「他に何かないか探してくれ。こちらは隊長に報告する」
「了解です」
ブレダが護衛にいうと、そのままイヤカムを経由して中家へ連絡を入れた。
「ブレダです。目標物発見。確かに地下に続く通路がありますが、超音波検査の限界以下の深度については不明です」
「現在地を保持。我々もそちらに向かう」
「了解しました」
中家の指示に反応して、マーシャルを警戒モードに切り替える。
敵味方信号によって、敵兵を威嚇するためのモードだ。
その上、攻撃モードとなると、敵兵を発見次第攻撃し、行動不能の状態に追い込むことになる。
全体の3分の1ほどの兵員をもって、マーシャルのところへとやってきた。
「マキシム、君が先導をしてくれ」
石が区分けしている内側には、薄く土が敷かれていて、そこには分厚い鉄板が敷かれていた。
「この下に空間がある事は分かりました。しかし、どこまで深いかは皆目見当がつきません」
「いや、いい。ありがとう」
さらっと礼を言うと、中家はマーシャルを使って警戒を続けさせるように命じた。
「開けろ」
マキシムが部下に命ずると、鉄板をテコの原理で、それも近くにあった廃材を使って、こじ開けた。
それまでに廃材が山となるほど使っているわけだが、別段誰も気に留めた様子はない。
「はしごですね」
ここから地下ということで、ヘッドライトを取り付ける。
そのうえ、地底が見えないほど深くに掘られた壁に手をかけるところが取り付けられたハシゴを見た。
「センサー類の確認を」
霧吹きの大きなものを持って来させると、それの中身を地下への入り口から吹き付けた。
案の定、たくさんの緑色の線がみえる。
「どう考えてもセンサーだな。どうみる」
中家がその様子を見て、マキシムに尋ねる。
「まずテストしてみましょう」
そう言うと、近くにあった廃材をその穴に入れる。
途端、廃材は発火し、切り刻まれながら下へと落ちていく。
「このレーザーをどうにかしないと、ここから侵入するのは無理ですね」
たかだか数十cmの木の廃材ですらこうだ。
人が入ればひとたまりもないだろう。
「下に行くと火が消えたな。下は酸素がないのか」
中家が穴を覗き込みながらいう。
問題が山積している。
まずはどこから手をつけるべきか。
そのための話し合いが行われた。




