第9話
「……では、これらの計画でいこう」
1時間後、討議が終了し、マキシムが提案した計画にいくつかの修正を加えたうえで、決定された。
「そうだ、フエルサさん」
「なんでしょうか」
計画には軍の協力が必要なところがある。
そのため、フエルサから国防大臣へと連絡をしてもらうことにした。
「クレジェンテ大臣へ連絡をお願いできますか。少し話しておかなければならないことができましたので」
「分かりました。携帯でよろしいのであれば、ここでできますが」
「そうですね、それで構いません」
中家がそういって携帯電話をフエルサから受け取る。
すでに国防大臣へと電話がつながっている状態だ。
中家が話している間、あわただしく準備が続く。
そこでは、とりあえず計画を詰めているところだった。
「どうなっておりますか」
そこにフエルサがやってくる。
ここではマキシムが中心になって、テック・カバナー総合軍事会社の班決めをしているところだった。
「ああ、今は計画が出来上がったので、誰がどこを担当するかを決めているところだ」
フエルサに言いつつも、付せんを張り付けては名前を書き込んでいく。
そこには、突入班や誘導班といった名前が並んでいた。
「大掛かりになりそうですね」
「もちろん。それに危険だ」
だがな、とフエルサにマキシムが続けて言う。
「だからこそ挑戦する必要があるんだ、他でもない、俺らがな」
ちょうど電話が終わったらしく、そこに中家がやってくる。
「何の話だ」
「挑戦するために必要な心意気を話していたところです」
「そうか、それはいいことだ。フエルサさんは、ここで残っておきますか。それとも、同行しますか。同行する場合は死ぬリスクがあることを承知の上でついてきていただくことになりますが」
「大臣に尋ねてみますが、私はここで別れることになると思います。これ以上は案内人として、非軍人としていてもお荷物でしょうから」
「分かりました。おい、行くぞ。休息は取れただろ」
そのころには装置の組み立ても終わっていて、歩きつつ習熟訓練をすることとなった。
「行ってらっしゃい」
フエルサは格納庫内に残り、何もなくなったがらんとした中で携帯を使ってどこかへ電話をかけた。
「……私です、ええ、計画通りに。武装社長への恨み、晴らさせていただきますので、大臣」




