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プロローグ

それは、本当は存在してはいけない部隊。

その存在を知るのはごくわずかな人間のみ。

いわゆる都市伝説の類だ。


手野武装警備第零小隊、手野武装警備の社長、武装社長のみが取り扱うことができる機密小隊だ。

陸上少佐1名、大尉4名の合計5名によって組織されている。

武装社長のみに直隷しており、手野グループの最高機密を取り扱う権限が付与されている。

作戦は全て極秘、そして失敗は全て死。

そんな部隊は月に1度、小笠原諸島にある手野島にある手野武装警備本社の社長室に備え付けられている小部屋に会議で集まっている。

当然、誰も無線で傍受することができないような部屋の造りになっている。

「今回の指示はこれだ」

武装社長は5人に紙を見せた。

顔写真とともに、その対象となる人物の調査資料が載っている。

「この者の捕獲、あるいは殺害ですか」

少佐階級の男が、武装社長に言う。

明らかに今までの指示とは異質なものだ。

疑っている、というよりも本当に武装社長としての意思なのかを確認しているということだろう。

「疑問に思うのも無理はないな」

武装社長は見た目がすでに還暦なのに、着ている服はペンギンがあしらわれたアロハシャツ、会議室に持ってきていたのは山盛りのちくわだ。

それを食べつつ、さらなる説明をする。

「貴様らには、教えていないことがある。今回の依頼主は手野グループでもテック・カバナー財閥でも、ましてやグッディ財閥でもない。アメリカ合衆国大統領からだ。それとメキシコ共和国大統領の連名だ」

「自前の特殊部隊を使うってことはなかったのですか」

少佐が尋ね返す。

「察しろ、米軍を使えばどうなるのかぐらいはわかるだろ。以前も麻薬カルテルの親玉を狙って、特殊部隊を送り込んだのはいいが、あっという間にさらされて、全世界の恥となったではないか。メキシコは、今となっては聖域と化しているカルテルに手出しをしたくないといったところだな。海外の、それも本来は存在しない人員を、今回の作戦に使うというのも、政府からバックアップされることはないということだからな」

「……分かりました、ではすぐに発ちます」

少佐が言う。

「ああ、そうしてくれ。ただ、こちらの方でもコーディネーターを用意した。現地に着いたらこの番号に電話をかけろ。貴様らが死んでも、こちらが仇討ちはしてやる」

「了解しました」

少佐以下、全員があらかじめ用意されていたコップに紙を入れる。

それを指でかき回すとみるみる間に水に溶け、乳白色となった。

「乾杯」

武装社長の合図で、全員が飲み干した。

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