1,薔薇使い
‐杏、あなたは植物に愛されてるのよ。特に、杏は薔薇を使うことが出来る。
‐ばら?おはなの?
‐そう。いつか使える時が来るわ。それまでこのネックレスを持っておくの。そのうちにいろいろ増えていくわ。
‐うん、ありがとう、お母さん。
「・・・聞いてる? ねぇ、杏!」
「あ、え? なんの話してたっけ?」
「もう!最近、ぼーとしすぎじゃない?」
「ごめん」
最近、よく、ぼーとすることが増えた。
しかもその時に考えることは一つ。昔のお母さんとの会話。
薔薇がなんとかって言ってたっけ?
未だに手放せずに首から下げている薔薇のネックレス。
形見だから、かな?
「夏美、このあと暇?」
「どうしたの?急に」
「一緒に夕食食べに行こう?」
「・・・いいよ、行く場所は杏が考えておいてよ」
「ありがと」
私たちが今いるのは放課後の静かになった、カフェテリア。
紅茶とホワイトチョコのバームクーヘンを食べながら話してた。
うちの学校は私立高校なため、設備だけはいい。だからケーキや紅茶など安く買えて飲めるのだ。
「パスタでも食べに行く?」
「あぁ、あそこの杏のお気に入りの店?」
「うん。あそこが一番いい」
「そうね」
こうして私たちはパスタの店へ。
この時、後ろに私たちの後をつけてる人たちがいるのに気づかなかった。
「あいつが噂の薔薇使いか?」
「いや、正確には薔薇使いの娘だ」
「弱そうな奴だな。まずは様子見だが」
波乱の予感。