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be quiet  作者: 真咲 タキ
日常編
4/11

ヨシダくん

 ヨシダくんは顔をあげて私を見た。

 どこかいつものヨシダくんと違う。

 ヨシダくんはなぜか再び下を向き、少し間を置いて私の顔を見た。


「ヨシダくん、ごめん」


 私は謝った。

 ヨシダくんが小さな目が飛び出そうなほど目を見開いて私を見つめる。

 目をすぼめると、ヨシダくんは少しだけ微笑んだ。

 ヨシダくんが笑った。

 珍しいことだ。

 この微笑みにはどんな意味が隠されているのだろう。


「ササノさん、ぼくはただシゲチカくんがぼくの荷物を取り違えてもっていってしまったから追いかけただけだよ」


 ヨシダくんは言った。

 いつもより優しそうな顔をした。


「っでも、、、とにかくさっきはごめん」


 なんとなく私はヨシダくんに許しをもらいたかった。

 心のどこかに引っかかったトゲを早く抜いてしまいたかった。


「なんのこと、それより早く教室に戻ろう」


 ヨシダくんはもういつものヨシダくんに戻ってい

 た。


 ………





 ヨシダくんは教室に向けて歩き出した。

 私はそのすぐ後ろを歩いた。

 どこか気まずい。


 そういえば、あの教室に本当にシゲチカくんはいたのだろうか。


 もともとクラスを貸し切れるから教室で練習をすることにしたはずだ。

 ということはヨシダくんのあれは嘘だ。

 あれはヨシダくんなりの許しだったのだろう。


 確認したい。

 衝動に駆られた。

 背後からヨシダくんの顔を伺った。


 するとヨシダくんは突然止まった。

「入るよ」


 私はいつのまにか教室の前まで来ていた。

 教室の扉をスライドさせ、2人で中に入った。

 いつものメンバーが揃って気まずさがなくなった。


「どうしたんだ、何かあったのか?」


 番長がすかさず尋ねる。

 ヨシダくんは首を横に振った。


「荷物の取り違えがあったからシゲチカくんを追いかけたんだ」


 ヨシダくんは言った。

 番長は少し思案する表情を見せると提案をした。


「今日はもう遅い。みんなで一緒に帰ろうか。みんな今日もご苦労だった」



 ………





 学校からの帰りは本当に"一緒に"だった。

 番長達と一緒にそれぞれの家まで行き、メンバーと別れていった。


 1人、2人とメンバーが抜けて私は番長と2人きりになった。


「カナちゃん、ヨシダくんと何があった」


 番長が尋ねた。

 なるほど、2人きりになったのはこのためか。


「実は、、、」

 私は私の失敗を全て話した。

 そのあと、ヨシダくんが何と言ったかも話した。


「なるほど、そういうことか」

 番長は納得のいった表情をした。

 やはり私が悪いのだろう。

 番長に怒られる。


「カナちゃん、君はヨシダがだれを好きなのか知っているかい?実はカナちゃんなんだよ。ヨシダは君のことが好きなんだ。意外だろう?」


 番長は語り出した。

 いつからヨシダが私のことを好きだったのか。

 私の知らないヨシダくんの話しだった。


 私は番長の話に聞き入った。

 しかし、時はあっという間に過ぎ去って私は自分の家の前に着いていた。


 私が番長にさよならを言おうとすると番長が言った。


「最後に簡単に言おう。今日のことは確かに君が悪いが、それだけが原因ではない。ヨシダは君の前では堂々としていたかったんだよ。しかし、いいところで失敗してしまった。失敗した自分が恥ずかしかったんだ。ヨシダは純粋過ぎたんだ。まあ明日になればいつも通りになっているだろう」


 番長はそう言って去っていった。

…………




 次の日の練習は完璧だった。

 ヨシダくんは昨日より明らかに上達していた。

 番長はいつも通りになっているはずだと言っていたけれど、これは番長の予想を超えていた。

 悔しくて家に帰った後にも練習したのだろう。


 番長がだから言っただろうというようにこちらを見て親指を立てた。

 さすが番長だ。

 番長が男だったらいいのに番長カッコよすぎだ。






今回はミステリーではなく番長カッコイイばはしです。

「幽霊」では軽くミステリーを出しますので推理目的で読んでいた方はガッカリしないで次の話へ進んでください。

もちろんミステリー嫌いな方でも楽しめる作品に仕上がっています。

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