9話
そして、俺を見て驚いている大人達をほっておいて俺はその魔素とやらを意識して体の中で循環させるイメージを作る。
イメージは血液に乗せて体に循環させる。
すると、体の芯からじんわりと暖かくなるような、それとも力が湧いてくるような不思議な感覚がする。
「んな?!魔力操作を自力で?」
ガイツさんが驚愕の顔で俺を見る。
「ファーガス、この子は天才かもしれないよ。かつてコンウェルの大魔導師とも謳われた君の子だ。その才能を確かに受け継いでいるぞ!」
ガイツは興奮した様子で唖然としているファーガスの肩を揺さぶっている。
「この子は本当に3歳なのか、有り得んだろ、普通、魔力操作を覚えるには何日とかかる。それをこの一瞬でそれも3歳の子供が、だと?」
レインさんも表情こそうかがえないがその声色から驚いているのがわかる。
もしかして俺、とんでもないことをやらかしたのかもしれない。
それに、お父さんが大魔導師なんて呼ばれてたなんて初耳だぞ?
と、言うか今までこんな凄い人達がなぜ父と深い関係にあるか疑問には思っていたけど、これで少しは納得できた。
俺のこの世界での父親は凄い人だってことだ。
「ファーガス、この子の素質がどの魔法の属性に向いているがわからないけど、ちゃんと鍛えれば歴史に名を残す稀代の魔術師になれるぞ!」
ソフィアさんまでもが少し興奮して俺に詰めかかってくる。
ハグまでしてもらえた。
これは…幸せだ。
その光景を尻目にレインさんがファーガスの元へと歩き出す。
「…ファーガス、この子は今、金貨を持っているのだろう?
ならば買うものは決まっておろう?」
え?なんでこのおっさんが俺の金貨のこと知ってんの?やばくない?
「しかし、レインこの子にも欲しいものがあるかもしれない。
まだ3歳の子供なんだぞ?
親が道を決めつけるのは良くないだろ?」
おそらく父さんがこの人達に昨日俺が話したことを、話したのだろうと当たりをつけて先ほどまでの動揺を抑える。
そして、口を開く。
「お父さん、僕は魔導書が欲しいです」
俺のこの言葉を聞いて父親はポカンとした顔をして俺を見つめた。
「いらっしゃいませ」
俺は先ほどの4人と連れ立ってこの街の市場に並ぶ魔導書を専門に扱うお店に来ていた。
お店はさすが高級品を扱うだけあって高級な調度品が揃えて有り、店員もどことなく質の良いものを着て、品のある美しいお姉さんだった。
「魔導書を探しに来たのだが」
レインさんが先頭に立って何やら店員さんと交渉してくれる。
「申し訳ございません、ただ今当店に有る魔導書の在庫は2冊しかないのでございます」
すると、何やら店員さんがレインさんに向かって頭を下げている。
レインさんがこちらに戻ってくる。
「ふん!気に入らんな、ゼドーの奴めがこの店の品のめぼしいものは全て買い占めて行ったらしいわ!」
「…まぁ、彼のことはいいとして、残っているのは何だったんだい?」
レインさんの話によるとゼドーという人がこの店の品をほとんど買い占めてしまったらしい。
それを聞いた父さんが一瞬顔をしかめたけど、すぐに元の顔に戻しにて聞き返した。
「召喚魔法【亡者】と空間魔法の2つが残っているらしい」
レインのその言葉を聞いた俺以外の3人は揃って顔をしかめた。




