7話
「と、父様っ?!いえ、これはなんでもっ!!」
俺はとっさに手に持った金貨を背中に隠す。
しかし…
「ふむ…後ろに隠した手に持っていたものは何かな?」
隠したつもりだったけど思い切りバレてました。
なんてこった…
「いえ、これはその…たまたま…」
「詳しく聞かせてもらえるかな?」
ニッコリと笑いながらそう言う父親の目が笑っていなかった。
「…と、言ったことなのです」
はい、もちろんゲロりました。
父親のあんなに冷たい目にさらされてゲロらないわけにはいかなかったのだ。
「ふむ…国王様に、ね…で、カイルは魔法を使えるようになりたい。あってるかい?」
「はい、そうですお父様」
父親、ファーガスは自らの顎を撫でて思案顔をする。
そして、ゆっくりと口を開く。
「カイル、君は2つ間違ったことをした。
1つめは今日あったことを母さんに隠したことだ。2つめは勝手に私の部屋に入った事だね。
今回は特に罰は無しにしようと思うけど、次からは何か罰をつけるからね?いいかい?」
「はい、お父様」
俺は素直に頷き父親の言葉を受け入れる。
俺の素直な謝罪を聞いた父親は満足そうに頷くと先ほどとは違い心から優しそうな笑顔を見せてくれる。
「じゃあ、カイル今から魔力操作のやりかたを教えてあげようか」
「え?よろしいのですか?」
父親は、なんと俺に魔力操作の技術を教えてくれるそうだ。
なぜか父親は俺の疑問に満足そうに頷き相変わらず優しい笑顔をしている。
「カイルは魔法を使いたいんじゃないのかい?
だったら魔力操作は絶対に必要な技術だからね、じゃあ、始めるよ?いいかい?」
「はいっ!!」
俺は勢いよく返事をした。
ここから父親による魔法指導が始まることになった。
「まずは魔法を扱うにあたって魔素についての説明から、かな。魔素はカイルもやっているように呼吸をすることで取り入れることが出来るんだ。」
「それは例えばこの家の中でも、でしょうか?」
「そうだね、呼吸をすることができる空間ならどこでも取り入れることができるね」
俺の気にしていたところを最初に話してくれるあたり、この父親は魔法について理解が深いのだろう。本が擦り切れていたのもおそらくこの本を読み込んだためだろう。
「で、肝心なのはここからでね、その取り込んだ魔素を体の中で感じ取るんだ。そうすると自分の体の中の魔素が魔力として感じ取れるようになる。この魔力を使って魔法を使うんだよ」
「お父様、それでは魔力とは魔素を体内に多く保存しておいた人がたくさん持つもので日常的に魔法を使う人は少ない魔力しか持たなくなってしまいませんか?」
俺の疑問は、もっともなはずだ。
体内に取り込んだ魔素が多ければ多いほど魔理になる。それは一度も魔力を使っていない人はかなりの量を貯蔵してあるはずで、日常的に魔法を使う人はその貯蔵がなくなってしまい魔力が減ってしまうことになるからだ。
その疑問に父親はハッとした顔を見せるとまた、優しい笑顔を浮かべて俺の質問に答える。
「カイルは賢いね、たしかにそう思うのが普通なんだ。でもね、魔素は体の中に取り込める量が決まっているんだ。個人差はあれど魔法を使い始めたての頃は少しだけしか溜められない。だから、魔法を使わない人は魔素を体内に大量に貯蔵することはできないんだ。そして、魔素は呼吸することで取り入れるんだけど、これは平均程度の魔法使いが魔力切れを起こすほどに激しく魔力を消費した後でも1時間も休憩すれば魔素はほぼ限界まで貯蓄されるんだ。それだけこの世界には魔素が溢れてるってことなんだけどね」
そう言って俺の頭を撫でる。
精神年齢は大人の俺でも、この優しいぬくもりのこもった手で頭を撫でられるのはなんだかとても気持ちよく感じる。
「今日はもう遅い。カイルはもう寝なさい」
俺は魔法を知れた満足感と心の暖かさにとても良い気分で眠りについた。




