5話
本日は2話連続投稿をしたいと思います。
次話は午前1時に予約投稿してあります。
どうぞこれからもよろしくお願いします。
目の前のこの王様の先ほどの発言から察するにこの王様と俺は以前に面識があったらしいのだが…
俺には残念ながら王様と面会させていただいたような機会もないし、きっと何か勘違いをしておられるのだろう。
「申し訳ございません陛下、失礼ながら私めは陛下とご対面させていただいた覚えがないのですが、以前に私めはどこかで陛下とお会いになっていたのでしょうか?」
「む?あ、いや、そうであったな、予はお主と面識などない、忘れてくれ」
妙に歯切れの悪い反応であったが俺には実際にあった記憶がないのだ。
赤ん坊の頃から俺はずっとこの記憶がある状態で俺は母親に世話される光景ももちろんバッチリ覚えている。精神的には眼福だったけど体的にはまだまだ早すぎたそれは俺の心の中のフィルムの永久保存版になったのだ。
そんな頃から通して、目の前の王様と会ったことなど一度もないのだ。
「ふむ…娘が世話になったの、ほれ、これが褒美じゃ」
俺があれやこれやと思案していると王様は懐から袋を取り出しその中に入っている硬貨を一枚取り出すと俺に向けてピンッと指で弾いてきた。
俺が手に取った硬貨は金貨であった。
この世界の貨幣は市民など一般的な生活を行う上で使われる貨幣はGと呼ばれ、銅で作られた小さな貨幣である。あまりかさばると持ち運びに不便なため一応1000Gと1枚対等な貨幣として銀貨が使われているが、市井ではあまり見かけることのない貨幣だった。
日本円に直して考えるなら1Gで10円と言ったところだ。
しかし、大きな商取引などに際して貴族や大商会などの一部の富裕層は先程の金貨を用いて取引を行うのだ。
金貨の価値はそれ1枚で10万Gと定められており、その価値はコンウェル王国以外の国でも認められる世界共通の者として定められている。
「へ、陛下!恐れ多くも私めはこのような大金は受け取れません!私が王女殿下にお渡ししたのはたかが薬草1束です!お代は結構なのです!」
俺は受け取った金貨を頭上に掲げながら華麗に土下座を決めて受け取って欲しい旨を王様に向かってアピールする。
こんな大金をこんなガキがもらって良いはずがないのだ。いや、欲しくないといえば嘘になるがそれでも後からイチャモンを付けられたりしたらたまらないからだ。
「しかしのぉ…お主が傷を癒さず、娘の膝に一生傷が残ってしまったかもしれんと思うとな…娘の肌を守ったと思えばそれでも安いくらいじゃ」
途中から俺でなく王女様の方を向いて感情のこもった声で語るあたり、この王様は娘にゾッコンなのだろう。こんな王様で大丈夫なのか?この国は王女様のために滅んだりしないだろうか?俺は失礼ながらそんなことを考えてしまった。
「故にそちに払った金は相応のものという事だ、分かったらもう下がれ、ここは娘の部屋だいかに娘の恩人とはいえ平民であるお主が本来おってはならぬ場所だからな」
「ハ!失礼いたします!」
俺は国王の言葉にしたがいそそくさと部屋を後にする。
出て行く直前に王女様が何か声を上げていたが無視させていただいた。
「やばいな…大金を手に入れちゃった」
俺は手の中にある金貨を誰にも見られないように握りしめて城を後にした。




