白い光に包まれて
登場人物
橋田 蓮太(主人公)
少女
大男
村の住民
「どこだここは?」
俺は周囲を確認した。
目の前に少女、その奥に人が俺を囲う様に立っている。左右に大量の食べ物。
地面には石灰で何かを書いた跡があった。
そのほかにも、キャンプのようなものがある。どうやらここはどこかの集落のようだ。
周りの人達は驚きながら周りと話をしていた。
うまく聞き取れない。
すると目の前の少女が意を消したように近づいてきた。
「ಈಟ್」
手の中にあった、少し大きな葉っぱを差し出してくる。
受け取ると少女は食べるジェスチャーをする。
人からもらったものは信用しないこと。そう親から聞かされていた俺は少女の顔へ持っていき、食べるジェスチャーをする。
少女は戸惑いつつ少し食べる。少し待つと口を開け、口に無いことを表す。
どうやら毒はないようだ。俺は丸めて一口で食べきる。
無味。おいしくない。だが渡された以上食べないわけにはいかない。
俺も口をあけ、食べたことを表す。
少女は少しホッとした様子で言い放つ。
「あなたは、悪魔ですか?天使ですか?」
わけがわからない。同じ見た目なのに人間という選択肢はないのだろうか。
「残念だが、俺はただの人間だよ。」
人間という単語で全員が驚く。少女が後ずさる。
「人間、人間だと・・?」若い大男が近づきながら言う。
「嗚呼、人間だよ。」
大男が突然腰にあった斧をふりかざした。
俺は寸前のところで避ける。
「殺す・・・。」
発狂したように俺を見る。
やばい、本能が伝えている。これは逃げないとヤバい。
考えるより体が先に行動した。
俺は人々の間をくぐりぬけ、森林に逃げ込む。
「絶対に逃がすな、この場所がバレてはならん。」
集落の人々は必死に俺を探していた。それが夜になっても捜索は続いた。
俺は何度も見つかりそうになっては隠れた。
あるときは木の上へ、あるときは川の中へ。
しかし動物用の罠にひっかかり、捕まってしまった。
「人間は殺す……」「殺せ…」「処刑セヨ…」
さっきの集落へ戻ると人々が呪文のように唱えていた。
俺は牢屋のような場所へ収容された。
「処刑は明日だ。せいぜい今までの行いを後悔するんだな。」
下衆のように笑いながら大男は去っていく。
そのとき頭に何かが動くものを見た
「おいまて、なぜ俺が殺されるんだよ。教えろよ!」
返事がない。本当に去ったようだ。
俺は脱出できないか何度も試してみた。が無駄だったようだ。
わめいても仕方がない。逃げるとしたら牢が開くだろう朝か。
その間に状況を整理しよう。
①ここはジャングルのどこかだ。
②人間をひどく嫌っている。
③多分ここの住民は黒魔術的なもので俺を呼んだ。
④さっきの男、頭がモゾモゾ動いていた。何かが寄生している可能性がある
⑤頭に寄生して動く生物の知識がない。
だめだ、全然状況が飲み込めない。
朝になるのはいつだ?俺が捕まった時は夕方だった。
と、なると少なくとも6時間はあるな。それまで起きていられるだろうか。
もし眠っている間に縄で簀巻きにされては逃げれないからな。
眠気との戦いかぁ・・・。捕まっているというのに俺はいたって冷静だった。