建安5年(200年)山中での張飛との出会い
建安5年ですがこの頃はこの頃はかなり混乱しており、劉備は曹操と手を組んで呂布を殺したあと、曹操に造反し徐州を乗っ取るのですが、そこで劉備が董承の曹操暗殺計画に加担したことをしられ、董承一族やその一派は捕らえられ処刑され、劉備は曹操に攻撃され劉備軍は壊滅に近い打撃を受け、敗れた劉備は袁紹の元に逃げ、劉備の家臣関羽は曹操の捕虜となり、曹操の客将として過ごしていましたが、張飛は劉備と共に袁紹の元へと赴いて、袁紹の命令で劉辟・何儀・黄邵・何曼なとの元黄巾党残党と主にの汝南でゲリラ戦を仕掛けていました。
「やれやれ、早く闘いが終わってくれると良いのですが」
そんなところへ呂姫が声をかけてきました。
「月姫様、薪を取りに参りましょう」
ああ、そういえば薬草ももうあまりないですね。
「そうですね、私は薬草を探しますので、一緒に参りましょう」
私たちは山に入り薪や薬草を集めていました。
そこへガサガサと茂みをかき分けて一人の男がやってきたのです。
30くらいの大男です。
呂姫が私をかばうように立ちふさがりましたが、腕力に訴えられたら私達では2人がかりでもどうにもならないでしょう
「ん、お前ら何やってるんだ?」
私は一応警戒しながら答えました。
「薪と薬草を探しているのですがなにか?」
私の言葉に彼は喜んだようでした。
私が薬草が入った籠を抱えているのを見て彼は言いました。
「このあたりに腕のいい医者がいると来たんだがお前の先生か?」
その言葉に私は首を振りました。
「残念ですが先生はもう亡くなられています」
私の言葉に男は衝撃を受けたようでした。
「な、なんだと……じゃあ、俺は無駄足だってことか……」
私は気落ちした様子のその男に聞きました。
「一体どうしたというのですか?」
私の言葉に彼は
「ああ、怪我人が出てな、このあたりに腕のいい医者がいるって聞いたんで探しに来たんだが」
怪我人と聞いては黙っているわけにも行かないでしょう。
「その怪我人は、一体どこにいるのですか?
なんでしたら私が怪我の治療を行いますが」
彼は私に言葉にキョトンとしたのですが、やがて破顔し
「そうか、お前が治療できるならありがたい。
じゃあ、俺が抱えていってやろう」
そう言うと彼は私と呂姫を両肩に抱えて山をあるき出しました。
「何という馬鹿力ですか……」
呂姫も不満そうです。
「私たちは荷物ですか」
彼は上機嫌で答えました。
「なーに、お前らみたいな小娘なんぞ軽いもんだぜ」
やがて、粗末なあばら家につくと中には矢傷や刀傷をおった男たちがいました。
「こいつらは俺の部下だ。
なんとか直してやってくれ」
んー、どう見てもこの人達山賊かなにかですか?
「ところで、貴方は一体誰ですか?」
山賊の頭のような男が答えました。
「ん、俺は張飛っていうんだ」
げ、この人こんな近くまで来ていたのですか?
とはいえ、怪我して苦しんでいる人を無視するわけにも行かないでしょう。
医は仁術であるべきなのですから。
私は傷口を綺麗な水で洗い、ケシの乳液を乾燥させた阿片を練りこんだ
痛み止めを傷口に当て、その上に石灰を用いて、傷を厚くふさぎ布でぐるぐる巻きにしました。
「おお、すげえもんだな、助かるぜ」
私は彼に聞きました。
「なぜ無駄な争いを起こすのですか?。
争わなければ怪我をすることもないでしょう」
私の問に彼はいいました。
「俺は玄徳や雲長の兄貴なら天下を平和にできると信じてる
大体曹操は徐州の民を女子供見境なく大虐殺してるじゃねえか」
そういえばそれが原因で徐州では一気に人望を失い、徐州は陶謙配下だった劉備を迎え入れたのでしたね。
初平4年(193年)頃、袁術が曹操のいる兗州に攻め込んだとき、袁術は公孫瓚に救援を求め、公孫瓚は劉備や徐州牧・陶謙を派遣し、これに対し曹操は袁紹と協力して撃退したのですが、この時、曹操は陶謙に父・曹嵩や弟・曹徳を含めた一族を殺されていて、初平4年(193年)秋や興平元年(194年)夏に曹操は徐州に侵攻し、多くの人を虐殺したのでした。
「それは曹操の父親を殺したからですが……」
彼は怒ったように言いました。
「じゃあ、父親を殺されたら関係ない民衆まで皆殺しにしていいっていうのか?
ちがうだろ」
確かに彼の言うとおりかもしれません。
「そうですね、確かにその通りでしょう」
私はため息を付きました。
脳筋と言われる超飛に論破されるというのはなんですが、まあ言うことは間違っていない気がします。
「俺は一般市民の出身だからな」
なるほど、悪い人ではないのかもしれませんね。
「ところで、そろそろ私達を家に返していただきたいのですが?」
呂姫がそう言うと、私も言葉を続けました
「患者さんが来てるかもしれませんしね」
彼は私達を担ぎ上げると山道をあるきはじめました。
呂姫が苛ついたように言います。
「いい加減私達をもののように担ぐのをやめなさい。
この方を誰だと思ってるのですか?」
あ、呂姫それいっちゃだめなやつだから。
超飛が首をひねりました。
「まさかこいつがいいとこのお嬢様だとかいうわけないよな?」
ま、そんなにいい服は着てはいませんからね。
「いや、ちょっと呂姫?」
私は焦って帰ってよけいなことをいってしまいました
「ん、呂姫?
そういや見たことがあるような?」
あああ、だめです。
思い出さないでください。
「そのまさかですよ、この方は夏侯淵殿の娘様です」
ああ、いっちゃったよぉ……。
そんなことをいったら身代金とか求められるでしょうに、ああ、困りましたね。
「なんだって、このちんちくりんが夏侯家の娘?!
そう言われるとなんだか高貴な感じがしてきた」
そう言われるとって一体何ですか。
「いっておきますが私は妾の子供ですから、お金なんてありませんよ。
そうでなければこんな姿で薪拾いなんてしていませんからね」
私に言葉に超飛は目を白黒させていました。
「いや、そんなことをするつもりはないがな……」
そういって彼は私達を地面におろしたのでした。
案外紳士なのかもしれませんねこの人。
しかしタイミングの悪いことは続き、私が家に返ってくると、たまたま父上が私の家へ来ていたのでした。
「おお、月姫、帰りが遅いので心配したぞ。
で、その男は一体何だ?」
さて一体どう答えればいいでしょうか?