第九十八話 志々度 竜馬
「その顔は、俺みてえな見た目ガキみてえな奴に、自分や自分の炎が負けるわけねえって思ってる面だよな? まぁ別にいいぜ。俺の言うことを信じなくても、どのみちてめえがここで終わることに変わりはねえんだからよ。志々度流火竜術式ってめえの体で味わいなっ悪鬼! いや鬼か? いまいちピンとこねぇな? まぁ炎を使うから炎鬼って、言ったところが正解か?」
志々度流火竜術を使う少年は、俺が目の前にいるというのに、余裕の態度でブツブツと腕を組んで考え始める。
ガキのくせに馬鹿にしやがってっあまりに目の前にいるこのガキが余裕ぶっこいて、こちらを馬鹿にしてくるような態度をとってくるために、俺は少しばかりの怒りを覚ていた。
とはいっても、あのガキが俺の『炎の壁』に干渉し、切り裂いたのは紛れもない事実だ。
やはりここは自分の感情のままに突っ走らずに、慎重にも慎重をきすべきだろう。
道人の『屍喰』のせいで弱体化しているステータスのこともあって、俺は油断せずにこのガキの力を知ろうと思い。ガキに向かって視線を集中させると、鑑定を発動させる。
名前 志々度 竜馬 (ししど りょうま)
種族 人間
状態 普通
職業 陰陽師 (***)
レベル ***
HP ******
MP ******
攻撃力 ***+対炎***=***
+対土***=***
+対氷***=***
+対雷***=***
+対水***=***
防御力 ***
素早さ ***
呪力 ***
耐性
耐* ***
耐* ***
耐* ***
耐* ***
耐* ***
対抗 (下記の属性を持つ妖怪悪鬼に対してのプラスダメージ補正)
対* ***
対* ***
対* ***
対* ***
対* ***
スキル
攻撃スキル ********
********
********
奥儀 ******
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使役スキル *******
取得武術 *******
*******
*******
取得呪術 ***
称号 *****
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装備 *****
*****
*****
レベルアップに必要な経験値*****
俺が鑑定を発動させた瞬間、竜馬の瞳が瞬間的に強い呪力を伴った意志の光を放ち、俺の鑑定を一瞬で阻害したために、結局俺の鑑定で分かったのは、このガキが志々度竜馬という名前で人間であり、陰陽師だということぐらいだった。
なんだ今のは!? まさかまた鑑定が弾かれたのか!? いや今のは奴(道人)の時と違って、途中で阻害された感じだ。
くそっ陰陽師ってのは、何人も奴(道人)みたいなことができるのかよ!
俺は鑑定を阻害した竜馬に視線を向けるが、とうの竜馬は鑑定の阻害など何でもないことのように、感想を漏らしていた。
「はっマジで鑑定もちかよ? これじゃ志度の鼻たれが勝てる分けねぇか。つうかその面から察するに、俺に鑑定を弾かれたことが意外ってことか? まぁ俺も志々度流を背負ってるからよ。炎鬼の使う鑑定風情阻害できて当たり前なんだがな。まぁとにかくだ。さっさとくたばれや!」
それだけ言うと竜馬は、『火竜爪』を発動させたまま、持ち前のスピードを生かして俺に接近戦を挑んでくる。
そのために俺は、玲子と相対した時のように、集石でいくつもの石の盾を作り出して防ごうとするが……。
スピードが玲子よりも上で、戦闘経験においても玲子よりも上なのか。竜馬は俺の作り出す幾つもの石の盾を軽々とかわしながら、俺に直接攻撃を仕掛けてくる。
くっ早えしっ背が低くてまとがちっせえしっやりにくい!
俺は何とか竜馬の『火竜爪』を、ギリギリの線でかわしながら、一度距離を取ろうと、呪力を集中させて簡単にかわされる石の盾ではなく、かなりの幅のある石の壁を、俺は自分の目の前に出現させて姿をくらました。
「はっそんなんで隠れたつもりかよ? やっぱ鑑定持ちとはいっても、所詮は低知能な鬼種かっ大したことねぇな!」
竜馬は相変わらずの生意気な上から口調で言葉を吐き捨てると、俺の目の前に現れた壁に直進し、『火竜爪』で真っ二つにしつつ、そのままの勢いで俺に肉薄する。
その瞬間を狙って俺は、自分の持っている呪力をありったけ高めて『炎の壁』の威力を最大限に引き上げた。
俺の引き上げた『炎の壁』の威力は、半径数メートル内にいる餓鬼や腐餓鬼程度ならば、一瞬で燃え上がらせるほどの火力だ。
石の壁を破壊して俺に突撃してきた竜馬が、このまま俺に攻撃を加えてくれば、いくら俺の『炎の壁』を切り裂くことのできる『火竜爪』があろうとも、竜馬自身が『炎の壁』の防壁範囲に入り込んでしまうために、それなりのダメージを受けるはずだ。
してやったりと思った俺は、いびつに口元を歪める。
「ちぃ!」
竜馬は俺の常時発動スキル『炎の壁』の範囲が広がったことに攻撃に入る直前に気が付いたのか。舌打ちし、直前で俺に直接攻撃するのを放棄すると、炎に干渉できる『火竜爪』を俺の『炎の壁』に叩き付け、その勢いを利用して、一瞬で後方に飛び退った。