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第八話 腐餓鬼の腹の中

 気がつき目を覚ましたら、そこは真っ暗闇だった。


 いや少し違うか? そこにはわずかだが明かりがあった。


 ああ。とそこで俺は思い出す。新スキルを試すついでにレベル上げをしようとして、餓鬼を集めすぎて、そこから腐餓鬼が生まれて、俺は攻撃されて逃げ惑っている間に四方を腐餓鬼に囲まれて、そのうちの一体に食われたことを思い出していた。


 ああ、そっか俺腐餓鬼に丸呑みされて……てことは、ここはあの世って奴か? 俺また転生するのかなぁ今度はできれば人間がいいなぁ最低猫とか犬でお願いします。


 などと思っていると、不意に頭の上に滴が当たる。

 

あちっ なんだなんだ? と俺が頭上を見つめると、数十秒おきに水滴が、一滴。また一滴と、俺の頭上から、落ちてくるのが目に入ってきた。

ん、なんだこれ? 


 俺がそう思って水滴を見つめていると、水滴は俺以外のこんもりとした山に落ちて、ジュッといった煙を上げて、こんもりとした山を少しだけ溶かした。


 水滴の正体が気になった俺は、水滴が溶かしたと思われるこんもりとした山に近づいて、水滴の正体を探ろうとした。


 俺がこんもりとした山に近づいていくにつれて、その山の正体が明らかになってくる。


 そうそのこんもりとした山は、腐餓鬼に手足を食いちぎられて呑み込まれた餓鬼たちの死骸の山だったのだ。


 おおうっと、あまりの凄惨な光景に、俺は少しだけ引き気味になりながらも、再び俺の頭上から落ちてきた水滴が、餓鬼でできた肉の山に辺り、ジュッと肉の山を溶かすのを確認して、水滴の正体を確認した。


 やっぱりこれ、胃液だ。腐餓鬼の胃液だ。俺はそう確信した。


 ということは、一つだけはっきりとしたことがある。


 俺は、腐餓鬼に丸呑みされて、腐餓鬼の胃の中にいるが、生きている。といことだ。


 うしっ! 火の玉の俺は、思わず体を瞬かせてガッツポーズをとる。


 俺が生きている喜びに浸りガッツポーズをとっていると、俺の頭上から今度は、胃液ではなく何か塊のようなものが、投げ込まれてきたので、大体予想はついているが、俺は恐る恐る頭上から投げ込まれてきた物体を確認しようと向かって。


 やはり、俺の思った通り、頭上から投げ込まれたのは、部分部分噛みちぎられた餓鬼の死骸だった。


 あまりにグロテスクな餓鬼の死骸を見た俺は、思わず吐き気を催しそうになるが、火の玉にはけるものなどなく気分を害するだけで済んだ。


 とにかくだ。予想外の出来事とはいえ、俺が生きていたことは素直にうれしい。ただ問題なのは、腐餓鬼の中から脱出できるかどうか、というところだろう。


 まぁとりあえずその問題は置いておいて、今は、自分のステータスを確認しよう。


 名前 なし

 種族 火の玉族(無機物)

 状態 並


 レベル 10/10

 HP 3/12

 MP 5/33

 攻撃力 0

 防御力  0

 素早さ 5

 呪力  8+6


 耐性

 耐火 +18

 耐水 -


 スキル  火の粉   レベル4

      浮遊    レベル3

     火の玉特攻 レベル2

     

 特殊スキル 物理無効

       

 特性スキル 燃え移り レベル2

       

 称号 集団殺し

    残虐

    無慈悲

    狡猾

    うかつ 


 装備 なし


 どうやら腐餓鬼に呑み込まれて気を失っている間に、MPの方が少し回復していたらしい。といっても、肝心のHPが、3しかないって、マジやばかったんだな。『物理無効』が通用しないと、俺って雑魚ってことか……ハァこのままでこの世界で生き残れるのだろうか? う~ん。とり


 あえず、俺は強くならなければならない。漠然とそう思った。


 強くなる。か。 


 問題はこの世界で火の玉である俺が強くなるには、どうしたらいいかだ。


 たぶん俺は、火の玉族という種族ということは、人間のカテゴリーにはない。ってことは、やっぱりレベル上げか、もしくは、定番の進化だ。


 進化か、思ってみればこの世界に存在してから、進化しようって考えがなかったな。ま、とりあえず、今腐餓鬼に呑み込まれているから外敵の心配はないだろう。それにこの付近には基本餓鬼しかみかけていないし、俺を飲み込んでいる腐餓鬼をどうこうできる輩がいるとは思えないから、しばらくは安全だと思う。だから俺はその安全を最大限利用して、強くなろうと思う。せっかくモンスターに転生したのだから、喰われて終わるんじゃなくて、喰って食って食いまくって天寿を全うしてやるぜ! 腐餓鬼に食われて何かが吹っ切れた俺は、ただひたすらに強くなるために、自分のステータス欄を確認し、進化項目をじっくりと見始めたのだった。

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