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第六十四話 奥多摩村の戦い② 火吹き人対話を試みる

 見習いか。そんなもんがこんなとこまで出てくるなんて、陰陽連ってとこは、よっぽど人手不足なのか?


 というか六花って名前な~んか聞き覚えあんだよな? はて俺は地獄でそんな奴

に会ったことなんてあっただろうか?


 いや、地獄。というよりかは、地獄に行く前の記憶に由来するものととらえるのが自然か? 俺は自分の記憶を探ろうとするも、どうしても『六花』という名前に聞き覚えがあるところまでは思い出せるものの。


 それ以上自分の記憶を深く覗こうとすると、(もや)がかかったようになって、記憶の奥深くを覗くことができなかった。


 やっぱどうしても、化け物になる前の記憶を呼び起こそうとすると、記憶にもやがかかって、思い出すことができないか。


 まぁ思い出せないってことは、そもそも大した記憶ではないということになるんだろうが、『六花』という名前は妙に心に響いてくるっつーか。なんか気になんだよな。


 とはいっても、これ以上どうしようが、『六花』に関することを思い出せそうになかった俺は、本当に必要な時が来れば靄も晴れるだろうと思うことにして、とりあえず自分の記憶を探るのをやめることにした。


 それに、今目の前にそのなにかが心に引っかかっている六花本人がいるのだ。


 この靄を晴らすためにも六花と会話をしてみよう。


 そうすればこの心の中の靄を晴らすきっかけになるかもしれない。


 そう思った俺は、とりあえず六花に声をかけて会話を試みることにした。


 まずは声かけからだ。


 けど、なんて声をかけようか? 思い悩んだ末に俺は、鑑定してステータスに表示されていた六花の名前を、俺はお前の敵じゃないという友好の意味合いも込めて、呼んでみることにした。


「リッ……ガ……」


「あたしの名前……」


 そうだ。これはお前の名前だ。攻撃されているにもかかわらず反撃もせずに友好の証に名前を呼んだんだ。わかってくれるか?


「なんで悪鬼があたしの名前を知ってるのよ?」


 六花は俺への警戒の視線は外さずに、可愛らしく小首をかしげて考えると、少し頭を悩ませて答えが出たのか口を開いた。


「まさかっさっきのあの悪鬼に見つめられたときに感じたゾクッとする視線鑑定!? だとしたら、この悪鬼って……もしかして、あたしの手に負えるような相手じゃない?」


 俺が鑑定を使ったのに気が付いた六花は、俺との実力差が分かったのか頬を引きつらせると、少しばかり腰が引けたのか体を後ろに下がらせる。

 

 ちょっとまて。別に怖がらせるために鑑定したわけじゃないからっ俺はただ単に六花と普通に会話したいだけだからっ頼むから勘違いしないでくれっ六花。


 六花の様子を目にした俺は、少しばかり慌てたように、六花がこの場を離れるのをやめさせようと右手を伸ばした。

 

 だが俺のその行動は、六花から見たら俺の反撃動作と見られたらしく、俺の方に視線を向けるその瞳の警戒色を色濃くさせた。

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