第六十三話 奥多摩村の戦い① 阿倍野六花
「氷結符っ救急如律令!」
俺が水車小屋から一歩足を踏み出した瞬間、俺に向かって何枚もの符が飛びかかってくる。
俺に飛び掛かって来た氷結符は、俺の体に触れると共に氷の塊へと変わり、バシッバシィッっと言った感じに氷が俺の体に張り付つくと、俺の体を巡る熱と反応して白煙を上げた。
そして俺の体に符が命中したのを見計らったかのようにして、鈴の音のような可愛らしく、それでいて、力強い声が村に響き渡った。
「陰陽師見習い阿倍野六花っ見参です!!」
俺に向かってビシィッと人差し指を突き付けて、正義の戦隊ヒーローが登場するような堂々とした仁王立ち姿で名乗りを上げたのは、栗色の髪を左右に結わえ付け、戦闘に参戦するタイプの若い女性陰陽師がよく身に着ける動きを阻害しない袖やスカートが短いタイプの白装束に身を包み。足に白い足袋と、わらじを履いた時代錯誤な格好をした十代半ばと思われる可憐で小柄な少女陰陽師見習い阿倍野六花だった。
「悪い鬼はこのあたし、阿倍野六花が成敗してあげます!」
そう宣言すると、未だ氷結符を受けて白煙を上げる俺に向かって、左右五指の指の間に挟んだ合計八枚の符を解き放ってきた。
「氷結連符っ救急如律令!」
六花の左右五指の指から解き放たれた合計八枚の氷結符は、先に張り付いた氷結符の氷にかぶさるようにして俺の動きを封じようとするが、見習い陰陽師の放った氷結符程度のつくりだした氷では、俺の纏う常時発動スキル『炎の壁』と、俺の体を流れる熱に当然通用するはずもなく。俺の体に張り付いた氷結符から作り出された氷は、瞬く間に溶解し、水分から白煙へと変わり、すぐさま蒸発して消え去ってしまう。
「な!? あたしの氷雪連符がきいてない!?」
あ~なんだ。火に対して氷ってのは、常套手段で弱点だと思うんだが、レベルと種族差による自力差がありすぎて、悪いんだが俺には通じない。
俺は体に張り付いた氷が溶けだして、白煙という気体となって上昇していく様子を目にしながら、自分の繰り出した必殺の術式が破られた阿倍野六花という少女陰陽師に視線を向けて鑑定を発動させる。
名前 阿倍野 六花 (あべの りっか)
種族 人間
状態 普通
職業 見習い陰陽師 (下位)
レベル 20/25
HP 60/60
MP 25/25
攻撃力 6
防御力 5
素早さ 2
呪力 20
耐性
耐氷 +5
スキル
氷結符 レベル2 (氷によって相手の動きを封じる)
使役スキル 式神 雪女 レベル25 (陰陽師が調伏し、使役する妖怪。使役するための対価を払うか、もしくは妖怪と契約をすることによって、陰陽師の代わりに戦線に立つ)
取得武術 阿部式護身術 レベル1 (陰陽連基本護身術)
取得呪術 なし
称号 お兄ちゃんっこ
装備 陰陽連盟支給の白装束 白足袋 わらじ
レベルアップに必要な経験値50
すいません。一日前に投稿し忘れたので本日二話投稿です。m(__)m
相変わらずお茶うけレベルで短いですが皆様のお茶うけになれればと思っております。m(__)m