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第四十七話 比婆と志度

 とりあえず俺が、そうして生き残る術を見つけていると、先ほど火炎を解き放ってきたヒョロヒョロリーゼントグラサンが口をあんぐりと開けていた。


「比婆さん。俺の火術が全く聞いてないみたいなんすですけど」


「ああっそりゃたりめえだろ」


 言いながら姿を現したのは、リーゼントと同じ、黒装束に身を包んだ体長2メートル近いがっちりとした体つきのムキムキマッチョな禿頭だった。


 禿マッチョの声色からして、どうやら先ほど物陰に隠れながら不意打ちで俺に呪縛符を発動させてきたのもこの男のようだった。


「比婆さん。当たり前ってどういうことっすか?」


「あん。そりゃおめえ、姿かたちからして見て、ありゃ火属性の悪鬼だ。そりゃお前のちゃちぃ火術なんかきくわけねぇだろうが?」


「ちゃちいってっ比婆さん! いくらなんでもちょっとひどくないっすか!? つうか言うならもっと早く言ってくださいよ!」


「馬鹿野郎っ相手の属性ぐらい自分の目で見て瞬時に判断しやがれってんだ❗」


「無理ですって」


「あん。そんなん簡単だろうが?」


「そりゃ比婆(ひば)さんは野生児だから……」


「あん?」


「いえなんでもありまっせん!」 


「そうか? まぁとにかくだ。ああいう火属性の肉のある奴をやるには、火以外の属性攻撃か。無機物。つまり、打撃技しかねぇ。とはいっても、あんな見た目火の塊みてえな奴相手に接近戦は自殺行為だからなってめえ志度っ俺の呪縛符の鎖で押さえてる間にさっさと火術式以外の属性の遠距離術式であれを仕留めやがれ❗」


「比婆さん……俺火術しかつかえねえんすけど……」


「……」


「……」


「ああもうっ使えねえなあ❗ このボンクラは❗」


「仕方ないっしょ❗ 今まで餓鬼洞は餓鬼がメインだったんすから❗ だから俺の火と相性がよかったんすよっだから俺は、火術以外の属性使えないってのにったまに餓鬼洞にできた小さな地獄門から這い出してくる餓鬼どもを駆除するために、ここに派遣されてんすからっつまり、俺の実力的には、火術と相性のいい餓鬼たちを相手にできる程度なんすから、他の属性を使えとか、あの明らかに餓鬼とは相反する火術の通じない奴を倒せってのが無茶振りなんっスよ❗」


「あ~も~うるせぇなぁ~とにかく志度っなんでもいいからさっさと攻撃してあの悪鬼を仕留めやがれ❗」


「あ~もうっわかったっすよ、調度餓鬼どもも沸いてきたみたいだし、やってやりますよ」


 ある程度愚痴をはいて機嫌が直ったのか、志度と呼ばれたリーゼントをしたヤンキー口調のおっさんが右手で印を結び、気合いを込めて、呪詛を紡ぐ。


「オンバサラタンカンッアビラウンケンソワカッハラタカンマンッ火炎(ひえん)❗」


「おいコラ志度ってめえなにまた火属性悪鬼相手に火術なんて使ってやがる❗」 


「まあ見ててくださいよ比婆さん」


 言うと志度は、右手に結んだ印で火炎を操り、俺に向かわせていた火線をいつのまにか呪縛術で拘束されて身動きのとれない俺の回りに集まってきていた十体近い餓鬼に向かわせていた。


 餓鬼に向かって地を迸りながら向かう火線は、志度の狙い通りに、俺を取り囲む餓鬼たちを燃やし、十本近い火柱を作り上げる。


「いくぜおらぁっアビラウンケンソワカッ志志度流火術式大火術っ火炎柱(ひえんばしら)❗」


 志度が印を結んでいる右手の平を返し、人差し指と中指の二本の指先をクンッと上へと勢いよく向けると、俺を取り囲む火柱が、呪縛術で拘束されている俺に向かって集束し、俺の体を中心に巨大な火柱となって、立ち上った。

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