第四十五話 獄炎鬼⑱ 決着
名前 なし
種族 火吹き人人間道に落ち、特殊進化を果たした個体。
状態 怒り、冷静さを若干失う代わりに、能力値に+30%の補正がかかる。
レベル 1/85
HP 182/182
MP 180/180
攻撃力 85+25=110
防御力 45+13=58
素早さ 6+1=7
呪力 105+31=131
耐性
耐炎 +60
耐水 -
スキル
集石 レベル1 (周囲の石を集めることができる。集められる石は、込めた呪力とMPに比例する)
火線 レベル1(自分の体内に通っている炎と同じように、無機物に対してのみ、火の線を通して熱することができる。威力は込めた呪力とMPに比例する)
炎熱拳 レベル1(力(呪力)を込めることで、拳や手の平に熱を加えて相手を攻撃できる。加える呪力やスキルレベルによっては、鉄をも溶かすことができるようになる。威力は込める呪力やMPに比例する)
特殊スキル
二足歩行(人のように二足歩行できるようになる)
蓄積(周囲の炎などをMPに変換できる)
特性スキル
炎の壁 レベル1 (体の中の炎が燃え続ける限り、呪力に比例した炎の熱気が常に自分の周りを守り、敵対するものを容赦なく焼き尽くすが、姿かたちを変える変異系のスキルを使用している間は、このスキルは発動しない。火吹き人専用常時発動型スキル)
称号 大量虐殺 (範囲攻撃15%+補正)
冷酷 (止めの一撃時に、必殺攻撃15%+補正)
狡猾
うかつ
大物殺し
装備 なし
進化に必要なレベル84 レベルアップに必要な経験値400
進化したせいで、やっぱり鑑定の能力が上がってやがる。前は確か進化に必要なレベルとかレベルアップに必要な経験値なんか表示されなかったし、スキルの説明なんてのもあまりなかったはずだ。
にしても、やっぱ有機物になったせいで、説明にもあった物理無効が消えてる。
あれは無機物だった時の俺の一種の生命線のようなスキルだった。
それが消えた。ということは、これから先。俺には物理的な攻撃が通るってことだ。
多分今までのように相手の攻撃を無視して突っ込んで、燃え移りで倒すとかの無茶はできなくなるだろう。まぁ燃え移りも消えてるんだが。というか、はっきり言ってこれはかなり痛い。少し前までやってた餓鬼無双のレベリングができなくなるってことだからだ。
だが、これは仕方ない。上位種である火吹き人に進化しなければ、俺は獄炎鬼に歯も立たず一方的な蹂躙を受けて命を奪われていたのは間違いないはずだ。
そう俺は物理無効を捨てた代わりに、物理的な攻撃で、獄炎鬼を倒すことができるようになったのだ。
思えば、物理無効の代わりにえた強力な進化体の力は、これから先の俺にとってきっと有益になるはずだと考えて、俺は物理無効を失ったことに踏ん切りをつけつつ、ほかの失ったスキルの確認も開始する。
浮遊もなくなってるか。これははっきり言って痛い。浮遊を失うということは、今までのようにどこかから落ちても無事。というわけにもいかなくなるし、何より空を浮いて移動できなくなるのはこれからのことも考えると正直痛い。が、これも仕方ない。理由としては多分無機物から、物質に物理的に干渉できる体を持つ有機物に進化するという時点で、無機物特性っぽい浮遊が失われるのは必然ぽいからだ。だから、浮遊についても諦めはつくし、寄生スキルが消えたのも納得できる。
ただ問題だったのは俺の必勝パターンでもあった肝心の攻撃スキルが、火吹き人への進化時にランダムで複数のスキルを失う代わりに、火吹き人のみ扱えるランダムスキルを得るって奴のおかげで失われてしまっていることだ。
そう俺が重宝してきた攻撃スキルたちのほとんどすべてが、火吹き人に進化した時点で失われてしまっていたのだ。
俺が失った攻撃スキルは、『火の粉』『大火』『火の玉特攻』『炎の爪』に『炎の牙』に、『火炎放射』と『炎の渦』で。
さらに、『大火』『炎の渦』『火炎放射』のコンボスキルである融合スキル『火炎竜巻』も消えた。
ああもうっ俺の必勝パターンスキルがほとんど消え失せてやがる! これは何かの嫌がらせなのか! と、もう声を大にして俺は叫びたくなった。
次に称号だ。
称号の方は、数が減って統合されてるみたいだ。
たぶん大量虐殺ってのが、集団殺しと、虐殺。を合わせたもので、残虐と無慈悲が、冷酷だろう。で、称号がランクアップしたせいで、能力補正技能がランクアップした称号に追加されてる。
あとは四足歩行が二足歩行になってるな。まぁこれは四肢を使う獣型から、二足歩行の人型に進化したんだから当たり前か。それと多分獄炎鬼の手足を焼き切ったのは、俺の呪力によって威力を高められた炎熱拳によるもので、奴の攻撃してきたとき燃え上がったのは、炎の壁の効果だろう。
証拠として俺の防御力だと獄炎鬼の攻撃力には敵わないが、スキル炎の壁の防御力は、俺の呪力の大きさに比例するとある。
なら俺が獄炎鬼がつかみかかってきたとき、退けられたのも、この俺の呪力に比例して、触れた相手を燃やし尽くすことのできる炎の壁の特性によるものだろう。
つまり現段階において、獄炎鬼は俺を傷つけることはできず俺が一方的に獄炎鬼をなぶり殺しにすることができるってことだ。
俺としては、獄炎鬼の奴をこのままいたぶりつつ、殴り殺しにしても構わないと思っていたのだが。確か獄炎鬼の奴には常時発動型のスキル。HPMP自動回復があったことを思いだし、念には念を入れて確実に奴を殺すために、俺は自分のステータスを鑑定して思いついた。獄炎鬼の息の根を一撃で止めることのできる現時点で思いつく、俺の最強スキルで止めを刺すことにした。
まぁもちろんこれには、俺が自分のスキルの威力や特性を確認するという意味もあった。
まぁ実際のところは、俺の命をさんざんもて遊び、最後には喰い殺そうとした獄炎鬼の野郎を圧倒的な力でねじ伏せ。奴に絶望を味合わせながら、骨や肉片の一欠けらすら残さず、確実に奴を始末したいだけに他ならないが。
ま、簡単に言えば、俺は受けた痛みをのしつけて返すお礼参りをしようとしているにすぎない。
獄炎鬼。てめえら鬼はしぶとそうだからさ。塵すら残さず、消してやるよ。
俺は未だに底の見えない竪穴に落下を続ける獄炎鬼の胴体の上で両腕を掲げると、集石でこの巨大な縦穴にある石を頭上に集め始めた。
そう、集石を使って巨大な岩を作りだして、獄炎鬼を一撃で押し潰してやろうというのだ。
確か説明によると、込める呪力とMPに比例して石を集められるんだったよな? なら、ありったけの呪力を込めてみる。
それから俺は攻撃スキル『集石』で、直径10メートルの球形をした大岩を作りだした。
まだでかくできるが、この巨大な縦穴を塞ぐほどの大きさの岩の塊を作って穴にひっかかっても仕方ないし、これ以上の大きさの大岩を作るとバランスを崩しそうなので、集石による大岩づくりは、いったん終わりにする。
俺は頭上に集石で作りだした直径10メートルほどの大岩を見上げながら、鑑定して自分のMPを確認する。
これだけの大岩を作っても、残りMPは半分ぐらいか?
つかよく考えたら、このままこの大岩を獄炎鬼にぶつけたとして、下に地面がないと威力発揮できなくね? 大岩をぶつけるってことは、簡単に言えばその重さで相手を押しつぶすってわけだし、だから大岩をぶつけて確実に奴の息の根を止めるためには、獄炎鬼の奴が地面にいて、俺が投げた大岩と地面の間に挟まれなくてはならないわけだよな? という素朴な疑問が俺の脳裏をよぎった。
だとしたら、この大岩に触れただけで止めを刺せるようにしたらいい。幸いMPはまだ残っている。なら今はやれることをやるだけだ。
そう思った俺は、ありったけの呪力とMPを込めて、新スキル火線を頭上に持ち上げている大岩に発動させた。
最初岩の中を亀裂のように駆け巡った火線は、徐々に俺が込める呪力やMPが増加すると共に、岩自体を熱し始め、真っ赤な夕日のように赤く染め上げた。
俺は大岩を見てもっと力を籠めたらどうなるのか興味がわきさらに呪力とMPを込めた。
すると熱しすぎた大岩は、まるで溶岩のようにグツグツと煮えたぎり、煙を吐き出し始めた。
ここらが限界かと思った俺は、足元にある獄炎鬼の体を蹴りつけ、巨大な縦穴に勢いをつけて落下させると、俺自身落下しながら器用にバランスをとって、頭上に掲げている煮えたぎる大岩を獄炎鬼に向けた。
またせたな。これで最後だ獄炎鬼。
融合スキル溶岩石!!
俺の恨みの炎と共に地獄の底でくたばりやがれ!!
「GUGAAAAAAAAAAÀAッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺の怒号と共に直径10メートルを超える、まるで宇宙の彼方から飛来した隕石が大気圏の摩擦によって燃え盛っているかのように巨大な融合スキル『溶岩石』が、俺の頭上から俺に足蹴にされて、底の見えない巨大な縦穴に向かって落下していく獄炎鬼に向かって投げ落とされた。
俺が獄炎鬼目がけて投げ落とした巨大『溶岩石』は、巨大な縦穴の未だ無事な螺旋階段を上層を目指して上っている餓鬼たちをその余波だけで燃やし尽くしながら、まっすぐに獄炎鬼へと落下していき獄炎鬼の体に触れるや否や触れた部分からその体を溶かし尽くしていく。
獄炎鬼の体がすべて溶かし尽くされて、残りの頭にも『溶岩石』が到達しようとした間際、獄炎鬼の口元が笑みの形に歪んだ気がした。が、それは俺の気のせいだろう。
そしてとうとう『溶岩石』により、獄炎鬼の頭部が溶けてなくなったと思った瞬間、縦穴を飲み込むほどの巨大な大爆発が巻き起こり、大爆発の影響をもろに受けて巨大な縦穴は、崩壊した。
あの野郎の笑みはこのせいだったのかよっっっくそがあああああ!!!
俺は獄炎鬼にしてやられた悔しさに声を荒げながら、巨大な爆発の起こした白光に飲み込まれていった。
第一幕完
お読みいただいている皆様のおかげをもちまして、ここに第一幕を完結することができました。
ありがとうございました。m(__)m
第二幕につきましては、活動報告でも書きましたが、はっきり言ってこの後の展開が見えてません!! なので、続きがかけるまでひとまず休載とさせていただきます。m(__)m
目安としては十月中に投稿できないようなら、あっこいつエタッてやがると思ってくださっていいと思います。
といっても読んでくださっている人がことのほか多いので、できる限り頑張ってみようと思います。
ただこれ絶対書籍化とかしないネタだと思うので、いくら頑張ろうともおまんまが食えないのが悩みの種です。(悩)