第四十一話 獄炎鬼⑭ 経験値取得
俺が螺旋階段を集団で登る餓鬼たちに向かって『火の粉』が発動させると、俺の発動した『火の粉』の消費MPが俺の残りMP3とちょうど一緒だったのか、『火の粉』の発動と同時に、俺のMPが枯渇する。と、同時に俺の意識がもうろうとし始める。
これが異世界召喚ものとかの小説にあったMP枯渇による意識障害か? そう俺が思っていると、MP枯渇による意識障害と、状態異常流血のために、俺の意識はじょじょに闇へと落ち始め体からは力が抜けていった。
ああ、俺は死ぬのか?
体からありとあらゆる力が抜け落ちて、もうろうとする意識の中で、何とか意識を繋ぎ止めながらも、俺は自分の死を覚悟した。
そして俺のありったけの呪力と残りMP全てをつぎ込んで解き放たれた『火の粉』はふよふよと、まるで今にも消え入りそうな蝋燭の灯火のような弱々しさで、餓鬼の集団へと漂っていった。
そしてなんとか餓鬼の集団に到達した『火の粉』は、餓鬼の集団に火をつける。
しかし、残念ながらスキルを解き放った俺自身が、意識を手放そうとしている時点で、俺のスキルの呪力が弱まり弱体化を始めてしまっていた。
そのため最弱スキルとはいえ、本来なら上異種である炎獅子が発動した『火の粉』は、餓鬼程度の力の持ち主ならば、ものの一瞬で焼き尽くせるほどの力を有しているはずなのだが、スキル発動者が死ぬ寸前まで弱体化したために、俺の発動した攻撃スキル『火の粉』は、残念ながら本来の力を発揮することが出来なかったのだった。
そのため『火の粉』に火をつけられた複数の餓鬼たちは、燃え尽きることもなくただその場で悲痛な悲鳴を上げながら、体についた火を消そうと手ではたいたり地面を転げ回ったりしていた。
そして、本来の威力ならば、餓鬼程度の力の持ち主に消されるはずのない『火の粉』は、餓鬼たちによる必死の消火活動によって、じょじょに鎮火されて、もはや餓鬼を燃やしていた火は、ほぼ完全に鎮火されてしまったのだった。
餓鬼たちによる必死の消火活動によって鎮火されてしまった『火の粉』を見て、ああさすがにこれで終わったな。俺は必死に繋ぎ止めていた意識を手放しながら力なく瞳を閉じていった。
瞬間、餓鬼たちの足元が崩れ、俺に必要な経験値が流れ込んできた。
どうやら先ほど獄炎鬼が暴れた余波によって、螺旋階段自体が何らかのダメージを受けていて、俺が放った『火の粉』を餓鬼たちが消そうとして、ダメージを受けていた螺旋階段がそれに耐え切れずに崩壊し、それに巻き込まれて複数の餓鬼たちが巨大な縦穴に落下し、土壁の壁面やでっぱりに勢いよくぶつかり、命を落としたようだった。
そのせいで、間接的とはいえ、俺の『火の粉』が餓鬼たちを倒すきっかけになったと判定されて、俺に経験値が流れ込んできたようだった。