第四十話 獄炎鬼⑬ 最後の賭け
進化に必要なレベル1 残り経験値13?
どういうことだ? 今までのステータス鑑定だと進化に必要なレベルや経験値なんか、ステータスに記載されてすらいなかったってのに?
俺は疑問を浮かべながらも考えをまとめ上げる。
多分推測だが、俺が進化してレベルが上がり、鑑定する能力も上がったために、進化に必要なレベルやレベルアップに必要な残り経験値が表示され始めたといったところではないのだろうか?
それなら今まで記載されていなかった項目が、俺のステータスに追加されていたとしても、別におかしな話じゃない。
俺は自分のステータス欄最後の項目を目にすると、わずかな希望にすがることにした。
どのみち状態異常流血でHP もMPも減りつつあるなら、MPが完全になくなる前に、いちかばちかやってやる!
そう決意を固めた俺は、土で作られている巨大な縦穴の壁面の螺旋階段に視線を向けて、俺の残りMPで使えるスキルを使って、確実に仕留められそうな獲物を探し始める。
俺が壁面の螺旋階段に視線を向けていると、すぐに俺の要望通りの獲物が見つかった。
それは燃やした炎が俺の糧となり、倒した経験値が俺をより強い存在へと進化させ、この右も左もわからなかった地獄世界に転生してから、今日に至るまで常に世話になっていた餓鬼たちだ。
俺は集団で螺旋階段を上っている十体近い餓鬼たちの姿を確認すると、すぐさま餓鬼たちに向かって『火炎放射』を発動させようとしたが、MPが足りず発動出来なかった。
おかしい。確か目算だが、『火炎放射』の消費MPは、6ぐらいだったはずだ。なのになんで発動しない? 俺は不審に思い自分のステータスを鑑定して、残りMPを確認する。
残りMP4
は? なんでなにもしてないのにMPが減ってるんだよ❗?
俺は一瞬パニックに陥りそうになるが、今自分の状態が、HPやMPが自然に減少する流血状態だったことを思い出していた。
そうか流血状態だったから、時間経過と共にMPが減少して『火炎放射』が撃てなかったのか!
その事に気がついた俺は、今の自分のMPでもすぐさま発動できるスキルはなんだったかと急いで思考を巡らせる。
確か『大火』なら、MP3か4ぐらいだ❗ ならそれでいくしかねえ❗
そう思って、先ほど見つけた餓鬼の集団に向かって『大火』を放とうとしたが、肝心の攻撃スキル『大火』が発動しなかった。
なんでだよ⁉ MPは足りてるはずだろうが❗
また鑑定で確認すると、俺のMPが3になっていた。
MP3で発動できないってことは、『大火』の消費MPは4てことかよ
くそっなら他に発動できて飛ばせるスキルは……
火の玉の時にえた最弱スキル『火の粉』しかねぇ……
しかたねえ❗ このまま手をこまねいていたら『火の粉』すら発動出来なくなっちまうんだっ『火の粉』で勝負にでるしかねぇ❗
俺はやけっぱちになった気持ちで、自分の最弱スキル『火の粉』を巨大な縦穴の壁面にある螺旋階段で群れている十体ほどの餓鬼の集団に向かって、ありったけの呪力を込めて解き放った。