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第三十九話 獄炎鬼⑫ わずかな希望

 くそくそくそくそくそっなんとかなんねぇのかよ!? この状況をひっくり返せるスキルを俺は持ってねぇのかよ!


 俺は自分のスキルを上から順を追って辿っていく。


 俺の攻撃スキル『火の粉』や『大火』や『炎の渦』や『火炎放射』なんかじゃ頭に融合スキル『火炎竜巻』を喰らっても無傷だった獄炎鬼に到底通用するとは思えねぇ。


 それに、たとえ融合スキル『火炎竜巻』を使ったとしても獄炎鬼の奴が驚いたり、慌てふためいたりして俺の拘束を解くとは到底思えない。それになりより、今までのレベリングのせいで俺のMPが残り一桁6しかないから、そもそも融合スキルなんて作りだすことすらできないだろう。


 そして他の攻撃スキルである『火の玉特攻』は、体が自由でないと使えないし、『燃え移り』も俺の炎を焼いたり食ったりできる相手には、通用しそうにない。


 さらに言えば『炎の爪』や『炎の牙』で獄炎鬼の手を引き裂いて脱出を試みようにも、肝心の四肢が欠損していて、今ある左後ろ足一本じゃどうあがいても脱出は無理だ。


 攻撃スキルが駄目なら、あとは『浮遊』か『物理無効』か『寄生』だが、『浮遊』はそもそも攻撃スキルでもないし、体が拘束されていてろくに使えない。


 で、スキル『物理無効』は、獄炎鬼にはスキル『無機物破壊』があるためにそもそも通用しない。


 とすると、残るは『寄生』だけになるが、多分獄炎鬼の体の中は俺の炎を消化して己の力と化すことができるはずだ。


 でなければ、だれが進んで俺の炎でできた四肢を喰らうというのだろうか? だから俺が獄炎鬼に寄生しようと奴の口の中に入ったが最後。俺は奴の腹の中で消化されて一貫の終わりだ。


 俺は今までに自分の取得したスキル群を見て、この場をひっくり返せる起死回生の可能性が万に一つもないことを知った。


 それでも、わずかな可能性に欠けてレベルが上がって、この状況をひっくり返せる新たなスキルが発生していないかを確認するために、何度も何度も目を皿のようにして、自分のステータスを確認するが……


 やはり、というべきか。


 俺のステータスに乗っているスキルには、獄炎鬼の拘束から俺の体を自由にするスキルは乗っていなかった。


 俺はこの状況を打破できる手段が残されていないことを確認すると、うなだれながらステータスから視線を外そうとして、最後にある項目を目にとどめたのだった。


 その項目とは、俺のステータスの最後の欄に記載されていた進化に必要なレベル1残り経験値13という項目だった。

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