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第三話 餓鬼対火の玉

 俺は死亡回避のためのレベルアップを行うために、急ぎ先ほど大量の餓鬼たちが、頭を火だるまにされた餓鬼に群がっていた廃屋と井戸のある場所まで戻ってきていた。


 餓鬼いるか? いるよな? いてくれよ……


 俺のわずかな望みを天が聞き届けてくれたのか、幾分か数は減っていたが、餓鬼たちは、未だ先ほどの餓鬼の食い散らかされて原形をとどめていない肉片を貪っていた。


 よしよしよしいるいるいる!!! 俺は先ほどこの場を離れた時とは、真逆の歓喜の声を上げながら、未だ肉片を貪っている餓鬼たちの集団に猪突猛進のイノシシのように勢いよく頭から突っ込んでいった。


 行くぜ行くぜ行くぜーー!!! オラオラオラオラオラーーッッ!!!


 俺が急に現れて、餓鬼たちに突っ込んでいったために、同族の肉を貪っていた餓鬼どもは、ステータスの素早さ1という元々の動きの鈍さも相まって、まったくと言っていいほど自分たちに向かってイノシシのように突進してくる俺に対応が取れずにいた。


 うし、今がチャンスだ! そう確信した俺は、餓鬼の集団に突っ込んだ勢いのまま奴らの体にぶち当たりながら、餓鬼どもの体を蹂躙する。


 そして俺の体が餓鬼どもを通過するたびに、耐性スキル火耐性-10である餓鬼どもは、あるものは腕を、あるものは体を、またあるものは足を火だるまにしながら、必死に火を消そうと地面に体をのたうち回らせる。


 もちろん餓鬼どもが、そうやって体についた火を消そうと地面をのたうち回れば、同族の弱った状態を嗅ぎつけたほかの餓鬼どもが、どこからか現れて彼らに群がり始める。


 同族である餓鬼に群がってきたこの餓鬼どもを放っておけば、同族同士で喰らい合って、簡単に同士討ちで殺すことができるだろう。


 だが、今回の俺の目的はこいつらを倒して、自らのレベルを上げることだ。だからこのまま好き勝手にやらせはしない。


 俺はそう決意すると、必死に火を消そうと地面をのたうち回ったり、転がったりしている餓鬼どもに群がろうとしている餓鬼に向かって突進した。


 もちろん餓鬼たちも俺が突進してくるのはわかっていたみたいで、拳で殴り掛かったり、スキル噛みつきを使って俺にダメージを与えようとしたり、俺自身を喰らおうとするが、俺には、特殊スキル『物理無効』がある。そのため俺に攻撃を仕掛けてきている餓鬼の物理攻撃はすべて無効化され、逆に俺の火の玉特性燃え移りによって、俺にちょっかいをかけてきた餓鬼たちの体に火の玉の火が燃え広がり、火だるま化していった。


 そして燃えた同族を喰らおうとどこからかまた餓鬼どもが集団で現れたために、俺は、再度餓鬼の集団に向かって突撃を慣行した。


 俺が餓鬼に体当たりする燃える。


 餓鬼が俺に触れる燃える。


 餓鬼が俺に攻撃する燃える。


 餓鬼が俺に噛みつく燃える。


 燃えた餓鬼を新たな餓鬼が喰らおうと現れる。


 それを見つけ燃やす。また餓鬼が現れるそれを見つけ燃やす。


 もう何度繰り返しただろうか?


 そうこうしている間に、最初に火をつけてやった餓鬼が、くたばったらしく。俺に経験値取得が知らされる。


 餓鬼レベル5を倒しました。


 12の経験値を得ました。


 同時にパッパラパーと頭が悪そうな音が俺の脳裏に鳴り響いた。


 レベルが2に上がりました。


 レベル3になりました。


 俺が初めての経験値を取得すると共に、初めてのレベルアップ音を聞きながらも、俺は次々と現れる餓鬼たちを焼き尽くすために飛び回った。


 それからいくばくかして、ようやく餓鬼たちの集団が出尽くしたのか新手が現れずに、俺は餓鬼の集団に勝利した。


 そして、俺の脳内にけたたましい経験値取得と、レベルアップの効果音が何度も響き渡ったのだった。

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