第二十三話 餓鬼洞の終着点
下層へと続く縦穴を降りた俺の視界には、今までと違って餓鬼一体が通れる通路のようなものではなく、だだっ広い巨大なホールのような空間が広がっていた。
ホールといっても、学校にある体育館ほどの大きさではないだろうか? で、案の定そこには、数えきれないほどの数多の餓鬼が存在していて、それを捕食する腐餓鬼はおろか餓鬼王まで複数存在していた。
とりあえず、餓鬼や腐餓鬼はともかくとして、餓鬼王とまともにやり合おうとは俺は思わなかった。
そりゃそうだろう。餓鬼王といえば、武人死人と死闘を繰り広げられるだけの力のある上位種であり、さらに、腐餓鬼のスキル『物理無効』の上位互換である『風圧拳』や『大威圧』を持っているのだ。
たとえ炎獅子に進化したと言っても、俺がたった一人で立ち向かえるような戦力じゃなかったからだ。
まぁまともにやりあえば、だが。
とりあえずこの空間で視認できた餓鬼は無数。腐餓鬼は六体ほどで、餓鬼王に至っては、四体もいた。
少なくとも今の俺は、真っ正面からこの戦力を対抗する方法を撤退以外に知らない。
というわけで、俺は真っ正面からこの戦力に立ち向かうことを放棄して、自分が上ってきた竪穴に、戻っていった。