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第百二十話 河川敷の戦い② 地蜘蛛(ジグモ)

 俺が降りただだっ広い河川敷には、先ほども言ったように、群れからはぐれた餓鬼たちが特に目的もなさげに徘徊していた。


 どうやらこの様子からして、餓鬼を先導している何物かも、完全にすべての餓鬼を誘導できているというわけではないようだった。


 俺がそうして群れからはぐれた餓鬼たちに視線を向けつつも、この大きな川をどうやって渡ろうかと思案していると、先ほど目にした巨大な鉄橋の姿が、脳裏に浮かび上がって来た。


 うん。やっぱ川を渡るなら橋をかけるしかないよな。で肝心の橋を架ける方法についてだが、多分俺の『集石』でかけられると思う。


 川を渡る方法を思いついた俺は、自分の考えをすぐさま実行に移すために、河川敷を走り始めようとしたが、ある光景を目撃したために、その場から足を前に踏み出すことができなかった。


 俺の見た光景とは、河川敷を徘徊していた餓鬼の中の一体が、いきなり背後から土煙が上がったと思ったとたんに、その姿を消したからだ。


 は!? 今のはなんだ? 土煙が巻き起こったと思った瞬間に、俺の視界の端から餓鬼の姿が掻き消えたように見えたんだが? もしかして、この河川敷に何か潜んでいるのか? そう思った俺は辺りを警戒し、後方へゆっくりと下がりながら、河川敷へと気配探知スキルを発動させようとするが……


 俺が状況確認をしようと思った時には、先ほど姿を消した餓鬼と同じように、すでに俺の背後に土煙が舞っていて、俺は土煙を撒き散らした何物かによって、体に組みつかれながら、地中へと引きずり込まれていったのだった。


 俺はいきなり何物かに組みつかれ、地中に勢いよく引きずり込まれて、一瞬で視界が真っ暗闇へと変わったために、軽くパニックを引き起こしていた。


 くっそっがっ!? 一体何がどうなってやがる!?


 軽いパニック状態に陥りながらも、俺は自分の体に背後から組みつき、硬い岩肌で出来ている俺の首筋に、執拗に牙を突き立てようとしてくる何物かを振り払おうと、体に組みついて来る奴の手足? のようなものを握り締めると、力任せに引きちぎった。


「ギ、ギギィッ!?」

 

 俺に手足を引きちぎられた何物かは、悲鳴のような声を発しながらも、残った手足で俺の拘束をさらに強めると共に、粘着性のある物質を俺の体に付着させ始める。

 

 ちっ視界が確保できねぇしっ、相手が何者かもわからねぇっしかも拘束してくる手足はともかくとして、この粘着性の物質がうざいっしかもこの体勢からだと力任せに引きちぎれねぇ! なんだこの粘着物はっくそがっこれは久々にまずいかもしれねぇ! 俺の膂力すら封じるかなり強い粘着物質を危険と判断した俺は、無我夢中で手加減なしに『炎の壁』の火力を最大限に引き上げるために、ありったけの呪力を高めて注ぎ込んだ。


 俺が高めて注ぎ込んだ呪力によって、最大火力に達した『炎の壁』は、背後から俺を拘束する何物かごと、俺を拘束しようとする粘着物質もろとも、一瞬で消し炭と化した。


 そして『炎の壁』の火力が高すぎたせいで、俺の頭上にあった土の蓋が吹き飛び地上への道が開いたと同時に、俺は自分を拘束しようとしていた暗闇から脱出するべく、無我夢中で足に力を込めると、蓋がなくなったおかげで、俺のいた暗闇に光を注ぎ始めた脱出口に向かって思いっきり飛び上ったのだった。


 地中に引きずり込まれながらも、運よく外への脱出口が開いたことによって、何とか地上に脱出することに成功した俺は、五、六メートルほど飛び上った空中から眼下へと、自分の置かれている状況を知るために視線を移した。


 俺が飛び出て来たと思われる二、三メートルほどの縦穴は、俺の発動した手加減なしの『炎の壁』の発した高熱によって、壁面がグツグツと、まるでマグマのように煮えたぎっていた。


 そして、その熱に当てられたのか。俺が引きずり込まれたと思われる竪穴のすぐ傍。といっても、三、四メートルほど離れている位置の何もないただの土と、雑草が生えている地面がマンホールのように盛り上がると、中から八本足をした体長一メ-トルほどの蜘蛛が勢いよく飛び出して来た。


 その姿を見て俺は確信する。


 こいつが、こいつと同じ蜘蛛が、俺を地中へと引きずり込んだのだと。


 蜘蛛の姿を目にした俺は、空中にいながら蜘蛛を凝視して鑑定する。


 

 名前 なし


 種族 地蜘蛛(ジグモ)幼体 


 レベル 12/20


 状態 混乱 

    火傷 (小)


 HP 58/62


 MP 30/30

 

 攻撃力16

 

 防御力12

 

 素早さ6 +2=8 (巣穴常駐時の獲物捕獲時に限る)

 

 呪力15


 耐性


    炎耐性-15



 スキル 


     地蜘蛛の糸 レベル1 (粘着性と強度を兼ね備えた巣作り専用の蜘蛛の糸)

     隠密    レベル2 (自分の気配を断つことができる。スキルレベル次第で、気配探知に引っかからなくなる)


     穴掘り   レベル3 (自分が身を隠す巣穴をほることができる。スキルレベルが上がれば穴をより素早く掘ることができる)


常時発動スキル


     振動探知 (自分の巣の蓋の上を通る獲物の振動を、常に感じ取ることができる)

 

 称号 

     同族食い


     飢餓耐性


     捕食者 (テリトリー内においてのみ獲物捕獲時に素早さ約30%上昇)


 特徴  

     地獄の荒野などに住み、土の中に縦穴を掘ったのち開閉可能な蓋をして、穴の中を蜘蛛の糸で補強し、袋状の巣を作る。


 そして蓋のある巣を作ったが最後、幼体の内はよほどのことがない限り、そこから出ずに、蓋の上に獲物が通りかかるのをひたすらに辛抱強く待って捕食する。


 備考   火にとても弱く瘴気の中でしか生きられない。

 

     そのため自ら体内で瘴気を作り出して、巣の周囲を瘴気で汚染する。


     放置しておくと、周囲が汚染されて大変なことになる。


  次のレベルまでの必要経験値58

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