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銀の姫君と蒼の魔法使い  作者: 苫古。
とある侍女の手紙
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とある王宮侍女から、故郷の姉へと宛てた手紙。


本編時前~本編後の王宮話です。



第16月宮・氷夢(タユラ)の月 10月




親愛なるお姉さまへ



 お久しぶりです、お姉さま。

 あたしは今日も元気よ!

 といっても、2週間前にお便りしたばかりね。

 この王都から村までは、馬車で3週間。手紙はどのくらいで着いているのかしら? 送り過ぎだと、笑っているお姉さまのお顔が目に浮かびます。


 今、王都は純白一色よ!

 絵本の挿絵に出てくるみたいなこの王宮は、なんだか粉砂糖をふんだんに塗したお菓子みたい。エルストにそう言ったら、笑われちゃった。3つしか違わないのに、子ども扱いするなんて、ヒドイと思わない?

 黒の森でも雪は降るけど、ここまでは積もらないものね。毎朝、神殿に行くまでの道で、夜の間に積もったふわふわの雪を一番乗りで踏みしめるのが、最近のマイブームなの。

 こうして冬(トラン)を迎えた王宮にいると、なんだか不思議な気分よ。夏(シャンタ)の始めに王宮侍女として働き始めて、まだ7か月しか経ってないのに、もう長い間ここにいるみたい。

 侍女の仕事にはすっかり慣れてしまったし、友達もたくさん出来たわ。

 いつも手紙に書いている同室のモナエは、もう親友といってもいいくらい。明後日の休日にも、一緒に街へ出かける約束をしてるの。ランチがすっごく美味しいって評判のカフェに行くから、村に帰った時に再現出来るように、しっかりと研究してくるわね。


 

 王都に旅立つ前の日、挨拶をしに行った時に、魔女様は仰られたわ。

 それまで知らなかった人たちと出会って、仲良くなっていけるのは、とても素敵なことだって。

 ほんとうね。


 遠い田舎から出てきた、都会を何も知らないあたしに、ここのみんなはとても良くしてくれるの。毎日、楽しくて仕方ないわ。

 ……だから、時折、ひどく辛くなるの。


 だって、あたしは、あんなにも優しい人たちを、騙してるんだから。




 ああ、心配はしないで!


 あたしは、魔女様が大好き。あたしが小さな頃から魔女様をどれだけ慕ってきたかを、よーく知ってるお姉さまなら、きっと分かってくれていると思うけど。

 ――― 託されたお役目は、絶対に果たすわ。

 魔女様がもう泣かないで済むのなら、あたしは何だってやれる。

 村の人みんながそう思っているかもしれないけど、この気持ちは絶対に、誰にも負けない。


 だから、お姉さま、見ていてね。

 来年の春、儀礼の日のために、あたし、一生懸命頑張るから!





あなたの可愛い妹

クレア=ハイルより






追伸

 ネリアおばさん特製のハーブ・ティーとジャムが切れそうなので、ぜひ送ってください。

 一日の終りにあれを飲まないと、なんだか調子が狂っちゃうみたい。

 ルビンスキーお爺さまに、ジャムを一人で全部食べちゃイヤよって伝えておいてね。








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第17月宮・王冠(ロロゴ)の月 18日




親愛なるお姉さまへ



 荷物、送ってくれてありがとう。

 でも、あたしの好きなスモモのジャムが入ってません。

 どうしてなのかは、見当が付いてるけど。


 ルビンスキーお爺さまに、この恨みは忘れませんとお伝えください。



あなたのガッカリしている妹

クレア=ハイルより


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